2025年10月31日金曜日

行政手続きはなぜ複雑なのか?

 年末調整の時期になって、年が明けたら確定申告の時期になる。非常に複雑で、どこの項目に何を書いたらいいのかわからないなんてことが頻発する。これは申告だけに限らず、健康保険、住民票、税務、年金などなど、様々な場所で発生する。

 そこでよく多くの人が言うのが、

 「なんで行政手続きはいつも面倒なんだ!」

というセリフだ。まあ、言いたくなる気持ちは重々わかる。わかりづらく、量も多く、複雑だから。

 そして次に出てくるセリフはこれだろう。

 「なんでシンプルにしないんだ!」

何十年経っても簡素化しない。行政の怠慢ではないかという意見もよく聞く。そうなれば都合がいいから。

 もちろん簡素化できた方がいいに決まっている。行政だって業務の効率化になって仕事がはかどるし、人員不足を解消できるし、経費も削減できる。なので、行政だってしたくてあんなに煩雑にしている訳ではない。

 中には複雑化して役人が国民からお金を巻き上げるためだとか、お金の流れをわかりにくくして使用目的をブラックボックスにするためだという陰謀論にはまっている人も、チラホラ見かけるがそれは荒唐無稽である。あんな書類でブラックボックスにはできないし、むしろ市民が手続きをすることによって証拠が残るのだから、むしろ不正ができない。

 では、なぜ煩雑なのか?それは・・・

 市民が無作為にサービスを望んだから

である。

 例えば確定申告なんかは税額を割り出すために行っているのだが、全員に同じ税率を課せばシンプルになるところを、貧富の差の軽減のために所得税の累進課税を導入したり、保険やローンの控除を適用したり、配当収入は別途計算したり、相続は条件の範囲内で非課税にしたりと、それぞれ要望に従って多種多様なオプションを付け足している。その付け足したオプションの分だけ手続きが複雑になっているのだ。

 そしてその要望を出したのは、他でもない

 市民

である。中には俺は出した覚えはないという人もいるが、古今の他の誰かが複数人出しているのである。なので、市民が各々己の都合で要求を続ける限り、行政手続きは複雑化の一途をたどらざるをえない。

 よって行政手続きの単純化を進めるなら、行政サービスの削減は不可避である。果たしてこれを受け入れられる市民はいるだろうか?




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