2025年10月24日金曜日

今の生活保護制度では就労意欲がなくなる

 何かと生活保護は問題化されることが多い。ここ数年生活保護の受給者数が上がっており、自治体によってはかなりの財政負担になっているところも出てきている。生活保護受給者は生産活動をしていないため消費しかしない層なのでお金を生み出さず、経済の縮小に拍車をかけることになる。ただでさえ人口減少に伴う生産人口の減少という問題を抱えているのに、生活保護受給者が増え続けるのは衰退の加速につながる。

 なので、生活保護受給者(特に若年の)を減らすのが急務であるが、どうもこの制度の中身が給与所得者との関係で就職に不安を与え、足を引っ張る原因を作っている。

 そこでここでは生活保護と就労意欲を焦点に、問題点を洗い出す。


 受給ライン≧生活必要最低限ライン


 無期限に働く必要がなくなってしまう給付額

 生活保護の受給額であるが、基本的に各都道府県の最低限必要とされる生活費ないしは所得に合わせて決定される。なので、生活保護受給者は最低限生活に必要なお金を「満額」給付されることになる。この「満額」というところが、一つ目の問題点である。というのも「満額」もらえるがゆえに一切働かなくても生活できてしまうため、労働の必要性がなくなってしまうのだ。

 しかも、期限が決められていないため、受給者の言い様で無期限に受給できてしまう。


 行政が全額肩代わりする医療費

 問題二つ目は、医療費である。というのも生活保護受給者の場合、医療費は「全額」行政が負担しているため自己負担がない。しかも、「無制限」に。

 なぜこうなっているかというと、現在の制度では生活保護受給者は所得がないので(生活保護費は給付なので、法的には所得にあたらない)、所得がある人のみが対象となる健康保険には加入できない(国保ですら打ち切られる)。代わりに社会保険事務所が医療券を発行し、かかりつけ医に送付することで、全額国費で医療を受けている。なので、本人は無料なのだ。しかも、回数に制限がない。

 そうなると、働いて健康保険で受診すると自己負担が生じて生活費が減ってしまうが、生活保護ならその心配がなくなるので、生活保護のほうが裕福になるのだ。

 医療に関してはもう一つ問題がある。一部の受給者はこの制度を悪用して多くの薬を処方してもらい、それを闇で転売して違法に稼いでいるのだ。その違法取引で有名になっている場所が、釜ヶ崎と呼ばれる阪堺電軌新今宮電停近くのエリアだ。

 なぜこれが違法かというと、まず処方薬は医師にしか販売の権限がなく、個人の販売が禁止されているからだ(医薬品医療機器等法違反)。さらに、生活保護受給者は10万円までしか貯蓄を認められていないので、それ以上のお金を隠し持っていることも違法である(生活保護法違反)。

 生活保護はこの犯罪の温床になっているのだ。


 負担なき手取り

 問題三つ目は、保険料の支払いや医療費の自己負担がないばかりか、税負担までもがないこと。給与の場合は健康保険料や年金保険料、それに税金が課されるが、生活保護の場合はこれらが課されないので給付金を丸々手取りにすることができる。つまり、手取り額は生活保護費のほうが高くなるのだ。これでは就職すると生活を切り詰めなくてはならなくなるので、生活保護を選ばざるをえない。


 年金の補てんに充てられる

 それと就労意欲の問題からは少し遠いが、年金の受給額不足を補うために生活保護が代用されている問題にも触れておく。

 現役時代にしっかり働いてより良い報酬をもらい、厚生年金や国民年金基金、付加年金などの二階建ての年金を払っていた人はある程度まとまった金額を受給することができる。しかし、国民基礎年金しか払っていない、それどころか未納がある人の場合はどうしても生活に必要な額に達しない。その足らない分の穴埋めに生活保護が充てられている。

 これでは納付しなくても生活保護で代替できるから支払しなくていいし、なんなら一生就労しないで暮らせてしまうので、就労に意義を見出せなくなる。


 解決策は


 期限の設定

 問題なのは無制限の部分が多すぎるので、まず受給期限を設けることだ。精神疾患をベースに考えると5年が一つの区切りで、長期療養か否か、自ら自立に踏み出せるかどうかの分かれ道となる。5年を過ぎると疾患よりも勇気のなさからくる依存が理由となるので、自立を促す意味でも打ち切ることが必要だ。


 健康保険への加入

 これは給与所得者との均衡を図るためと、過剰な受診を防ぐために必要だ。自己負担分を作ることで生活費との兼ね合いが発生するから、無制限な受診を控えざるをえなくなる。その結果、無節操な処方も防げるし、ドクターショッピングも阻止できるので、薬の転売やオーバードーズもできにくくなるだろう。

 さらに、保険料の徴収が増えるので赤字問題で揺れる健康保険の助けにもなる。


 年金と一体化

 今現在は税収から生活保護費が給付されているのを、年金からの給付に変えるのだ。あらかじめ年金として年金機構へ納めておいて、必要になったら自分の納付金の中から給付を受けるのだ。これなら他人が納めた税金を使うことがないので文句が出ないし、年金なので所得として扱われるから課税され、国保に加入できるので給与所得者と条件が同じになる。

 しかも生活保護費として年金に納める代わりに税率を引き下げれば、±0円で給与所得者の場合は手取り額が変わらないから負担は増えない。

 その上、あらかじめ生活保護費の分のお金も工面しなくてはならなくなるから、就労する必要性が生じるので自立につながる。




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