相手を変えようとする人

よく対人関係や社会問題などで障壁にぶつかった時に、相手を変えさせるのか自分を変えるのか、人によって対応が分かれれるところだと思います。そこで今回は、相手を変えさせようとする人にスポットを当てて、その特徴について分析してみようと思います。

相手を変えさせるとは

どういう人なのかを考える前に、相手を変えさせるとはどういう行為のことかを考えてみましょう。例えばこんな事例です。

大学への裏口入学。普通は一生懸命勉強して、自分の学力を上げることで合格し、入学します。これは自分を変える行為です。しかし裏口入学は、コネや賄賂を使って大学の理事や教授らの意向を変えさせているので、相手のほうを変えさせる行為です。そうすることで、自分が勉強しないで済むように仕向けています。

収入に関しても言えます。勉強して資格を取得したり、スキルアップして難易度の高い仕事をしたり、マネジメント能力を身に着けて管理職になったりと、自分のポテンシャルをアップさせることで収入を増やす方法は、自分を変える行為です。反対に上司へ抗議したり、ストを起こしたりする行為は、自分を変えずに相手を変えさせる行為と言えるでしょう。

このように相手を変えさせるとは、自分を変えたくないが故の行為だということがわかります。人間関係でもこれは言えます。わかりやすいのが、いわゆる「謝ったら死ぬ病」です。本当は自分が悪いのがわかっているにもかかわらず、自ら謝るのは気が進まないので、何が何でも相手に謝らせようとする行為です。

本来なら自分が悪いのだから、自分が折れて謝るのが礼儀です。しかし謝ったら死ぬ病の人は、みじめな自分から逃げたいが故に、逆ギレしてでも相手に謝ってもらおうとします。でもそんなことをされたら相手はたまったものではありませんから、余計に怒り、謝罪を要求してきます。それでも謝りたくない人は、「謝るくらいなら死んだほうが増し」などと言って意固地になり、自分の信用やイメージを自ら失墜させます。

つまり相手を変えさせるとは、自分を変えずに済ませたいという気持ちがあります。

自分を変えずに、相手を変えさせたいのはなぜか

自分を変えるというのは、大なり小なり抵抗感があるものです。その一方で相手を変えさせるのも普通は理性が働いて気が引けるでしょう。では相手を変えさせる切っ掛けは、どこから来るのでしょうか。

1.怠惰
人間というものは、非常に怠惰な生き物です。自分を変えるという非常に面倒で、自身の内面の嫌な部分を見つめないといけない、ストレスのかかる行為を嫌がります。自分を変えなければそんな面倒なことをしなくて済むので、楽できます。

2.願望
怠惰だけだったら相手を変えさせる必要はありません。現状維持をすればいいだけだからです。ここに願望が加わると必ず変化が必要になるのですが、怠惰な人は自分が楽をしたいがために、相手を変えさせようとします。

3.理性の欠如
これを悪いことだという認識がないのが、さらに問題です。なのでこの手の人は当然のこととしてやってきます。自分のやりたくないことは他人がやって当たり前、人の気持ちなど知ったことではないという節があります。だから悪びれません。

4.自分に甘い
とにかくこの手の人は、自分に甘いです。普通の人でも怠惰な心が芽生えたり、他人がやってくれたらどんなに楽だろうと思ったりすることはあります。でもそれを本当にやったら人間関係が悪化することが目に見えているため、我慢して実行には移しません。しかし相手を変えさせる人は自分に甘いため、我慢をしません。だから人に要求してきます。

5.マウント
常に自分のほうが上に立ちたいと思っている人にとって、自分のほうを変えるというのはメンツにかかわるので拒否するでしょう。そして相手を変えさせることができれば、相手を支配下した気になるので、優越感に浸れます。

6.恥をかきたくない
一時的であっても自分の恥ずかしい姿を見ることに耐えられない人は、自分のほうを変えるということができません。自分を変えるとは、格好いいことばかりではないからです。さらに自分を変えようとしても、必ずしも上手くいくとは限らず失敗することもありますが、この時の姿を直視できない代わりに、他人を変えようとする人もいるでしょう。

相手を変えることはできるか

ハッキリ言います。

「不可能」です。

私の知人はいつかは叶うはずだ、やる気があればできると言っていましたが、そういう問題ではありません。理由は、

他人の行動は、その人の一存でしか決められないから。

いくら自分が思ったとしても、相手も同じ思いを持つとは限らないので、思い通りにはならないのです。そもそも相手が何を思うかは自由です。それを変えさせるというのは、基本的人権を害しているし、越権行為です。

それに相手は一切変わらないのに、自分ばかり変えさせられたらどう思うでしょうか。いつも一方的に考えを押し付けてきて嫌なヤツと思うし、それでいて自分は変わらないとはなんて器が小さくてズルい人だと思うでしょう。そうなれば、相手はあなたとの縁を切ってくるでしょう。

根本原因

細かく分類すれば複数あるでしょうが、大枠で捉えたら原因は一つだろうと考えます。それは、

「未熟な自我」

精神医学的には自己愛性パーソナリティ障害とか、反社会性パーソナリとか、境界性パーソナリティ障害とかになるかと思いますが、共通するのは他人に依存した人格を持っているということです。

詳しく説明すると、幼い頃は一人では生きられないので、親兄弟などに依存します。これは精神面でもそうで、最初は未熟で依存的です。そして成長するにしたがって親兄弟から脱却し、独り立ちするようになります。これが「自立」です。なので自立した自我を持っている人は、何か問題が立ちはだかった際に他人へ依存せず、自分で勉強したりトレーニングしたりして解決します。

しかし自我が未熟なままだと依存性が残っているので、問題解決のために他人をあてにします。自己愛性の場合は、他人よりも優位に立ちたいという願望があります。反社会性は、自分の利益のためなら他人を陥れても構わないという思考があります。境界性は、他人と自分の区別がついておらず、同一視して程よい距離感を保てない特徴があります。いずれも対人関係に問題があり、相手がいないと成り立たない依存的な状態です。なのでいずれの場合も、相手を変えさせるほうへ意識が向かいます。

だが先ほども言った通り、相手は自分の意思では変えられません。なのでほとんどの場合、この試みは失敗します。故に挫折の連続にならざるを得ず、さらに症状を悪化させ、社会的トラブルも増えていきます。必然的に周りの人のほうが得るものが多いので、嫉妬心も湧いてきます。ここで自分の間違いに気づけばいいですが、思い込みが激しいのでなお妄信します。結果、いつまで経っても心が満たされず、幸福感が薄く、自己矛盾を抱えた人生になります。

こうならないために

何かを成し遂げようと思ったら、精神的に自立せざるを得ないでしょう。常に他人をあてにし、他人が変わるのを期待していても、状況は変わらないのでいつまで経っても望みは叶いません。自分が変わるしかないのです。


時にどうしても相手に変わってほしい場合もあるでしょう。その時はちゃんと自分も相手に合わせて変わることが必須です。多くの人間は、ギブアンドテイクを望みます。相手を変えるからには自分も変わる、50%50%の関係を維持しないと、相手から嫌われ関係が崩れます。よく嫌われる人は、ここができていません。

幸せになるために、自分を変えましょう。

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