貯金と投資、どちらに分があるか?

日本人は世界と比べると貯蓄率が高いと言われていて、2021年の家計調査によると勤労者世帯の平均貯蓄率は34.2%と高水準にあります。反対に投資をやっている人の割合は2020年8月の調査で、株式等で9.6%、投資信託で3.4%と、ほぼほぼいないことがわかっています。こうして見ると、日本は預貯金に多く偏重していることがわかります。このように預貯金に偏っている理由として、昔から日本では貯金をすることが美徳とされてきたと言われますが、果たしてそれは本当でしょうか?今回はこのことについて考えてみたいと思います。


そもそも預貯金とは


普段当たり前のように使っているので、あまり深く考えたことがないと思います。銀行やゆうちょに口座を作って小額であってもお金を預けただけで、それは立派な預貯金になります。その口座を使って、公共料金や社会保険料、税金などの支払いもできて、給与の受け取りにも使えます。その点では融通が利くし便利なのが預貯金です。

しかし、これを金融商品もしくは投資として捉えたらどうでしょう。地銀の定期預金だったら年利0.6%もあるようですが、多くの人が利用している大手都市銀行の定期預金だと年利0.002%しかありません。普通口座だとさらに1/10以下の金利しかないため、大概の人は利子が1~数十円程度で全然収入になっていないことがわかります。

それでも家計をやり繰りして、コツコツ貯蓄すればいいではないかと思う方もいるでしょうが、ここにお金の落とし穴が潜んでいます。ここで貯蓄したお金は昔の物価に合わせた価値であって、現在の価値や物価に対応していません。

例を挙げると、あなたは120円持って銀座木村屋であんパンを買うとします。大正3年(1914)だったら一個2銭なので6000個買えますが、平成18年(2006)だったら120円なので1個しか買えません。つまり、同じ額でも時代を経るにしたがって、買えるものが減るのです。

しかし預貯金の場合金利が低いし、それ自体は価格変動しないから、年々物価上昇に伴って買えるものが少なくなってしまいます。つまり、お金の価値が下がるのに伴って、預貯金の価値も下がります。なので預入を何回も繰り返したり、預入額を増やしたりしない限り、生活水準を維持するのが難しいです。

ただ一応、メリットもあります。それは支払いや引き出し、振り込みなど消費をしなければ、減ることはないということです。その安全性は、金融資産の中では最上級です。


投資はどうなのか


では投資はどうなのでしょうか。投資の場合、主に株式、投資信託、債券、先物、不動産などにお金を出してその見返りとして利益を受け取るのですが、いずれも物価に応じて価格が変動するので、口数が一緒でも物価が上がれば価格が上がります。

それに加えて、配当金や分配金、利子が入ってくるものが多く、その金利はいずれも預貯金よりも10倍以上も高いので、利回りがいい。

このことから、投資先の価値の上昇に伴う増額分、買い増しによる増額分、配当金や分配金などによる増額分のトリプルで総資産額が増えていく上、複利の効果で雪だるま式に資産が増え、投資額が増えていくに従ってその効果がさらに大きくなるので、投資のほうが物価上昇に対応しやすく、生活が困窮しにくいと考えられます。

もちろん、デメリットもあります。それは相場物なので、価値が下落するケースもあるということです。バブル崩壊や9・11同時多発テロ、リーマンショック、新型コロナ第一波、ウクライナ紛争など、大事件が起こった際には大きく下落します。平時だと、大台突破した後に利益確定売りが殺到して、下落相場になることもしばしばあります。

ただ、10年とか20年とか長いスパンで株価の変化を見ると、どんなに大きな下落が起こったとしてもその後に必ず価格が戻り、結局は物価上昇に比例した値動きになることがわかっています。なので、デイトレなどの短期取引ではなく、長期投資を選択すればまず失敗しないだろうと考えられています。特にインデックス投資なら個々の会社の業績にあまり影響されず、平均株価やTOPIX、NYダウ、S&P500などの指標に連動して価値が変化するので、ノーリスクではないですが無難だとされています。


預貯金と投資どちらに?


では預貯金と投資では、どちらに軍配が上がるでしょうか?それは、「投資」でしょうね。

なぜなら、リスクはあるものの時代や物価の変化に対応できるため、資産価値を維持しやすく、生活のレベルを落とさずに済む可能性があるからです。しかも、お金がお金を生むシステムを作り上げることができれば不労収入化でき、個人年金の働きをしてくれる可能性も出てきます。

これは貯めたお金をただ切り崩していくだけの預貯金ではできない手法です。しかも預貯金の場合、貯めた時のペースよりも切り崩すときのペースのほうが早くなる可能性が高く、その点でもリスクがあります。加えて預貯金はお金がお金を生むシステムは作れないタイプの資産であり、複利の効果もあまりに弱く実質無いに等しいので、不労収入化は庶民には不可能です。

以上のことから、投資のほうが将来性があるので、やらないに越したことはないと思います。

※ただし、投資は自己責任です。投資詐欺にはお気をつけください。

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