富裕層が増えると、庶民が生活が楽になる!?

 時々収入の格差が問題として取り上げられることがある。特定の人ばかりが得して良くないとか、庶民の生活が一向に良くならないとか言われる。だから、みな平等がいいと言っている人が世の中にはいる。マスコミのステレオタイプな報道を鵜呑みにするのは客観性に欠けるので、シミュレーションしてみよう。

均等な報酬の末路

 仮に収入格差を無くしたとしよう。国民全員収入が同額です。どうなるか?これは既に10カ国以上で試みてみた。そう、共産主義国だ。ソ連を筆頭に東ドイツやユーゴスラビアなどの東ヨーロッパ諸国や、中国、ベトナム、北朝鮮などの東アジア諸国、あとはキューバなんかがそうだ。

 全員同額の賃金で同じ分量だけ生活必需品や食料を配給される。実に公平であると言いたいところだが、実際は違った。このやり方では個人の評価がなされないので、他の人より頑張っても収入は一緒だし、どんなに勉強して高い能力を身に着けたとしても配給は変わらない。そのため本人の感覚としては、本来自分が得るはずだった報酬が他人に吸い取られている格好になるので、損な気分になる。損になることは誰もしたがらないので、みんな手を抜くようになる。結果、生産性が落ち、国民総貧乏の状態に陥り、国家は破綻した。

 東ヨーロッパ諸国はみな共産主義体制を止めてしまったし、中国やベトナムはそうなることを察して資本主義制度導入に大きく舵を切った。共産主義体制を未だに続けているのは、北朝鮮とキューバくらいだが、世界の最貧国レベルにまで衰退し、お世辞にも上手くいっているとは言えない状況だ。みな平等を進めるということは、国民全員を貧乏にさせるということだ。これは誰もが反発するだろう。

みな平等の真意

 結局のところ、みな平等がいいと言っている人は、「隣の芝生は青く見える」だけだ。富裕層をみて相対的な貧困を感じ、不平等に見えているだけで、そのバックボーンが見えていない。富裕層は多額のお金を得るために人よりも勉強しているし、多くのリスクも冒している(資産家の家に生まれただけの人もいるが)。その見返りとして多額の報酬があるのだが、金額だけ見ているので全体としての公平さが考慮されていないのだ。つまり、富裕層に対する嫉妬である。

富裕層は独占しているのか?

 富裕層は富を独占しているという話も聞くが果たしてそうだろうか?欧米の富裕層に多いのが寄付だ。キリスト教文化では寄付の習慣がある。日本もそうだが、先進国では寄付をすると税制優遇される国が多いので、欧米の富裕層は税金対策としてする人も多い。ゲイツ&メリンダ財団なんかはその最たるものだ。結果として大きなお金が貧困層へと配られるので、救われる人の数は計り知れない。

累進課税によって成り立つ行政

 さらに日本には累進課税制度がある。収入額によって税率を変える制度だ。その税率は以下の表の通りだ。

課税される所得金額 税率 控除額
1,000円~194万9,000円 5% 0円
195万円~329万9,000円 10% 9万7,500円
330万円~694万9,000円 20% 42万7,500円
695万円~899万9,000円 23% 63万6,000円
900万円~1,799万9,000円 33% 153万6,000円
1,800万円~3,999万9,000円 40% 279万6,000円
4,000万円以上 45% 479万6,000円

 下は5%から上は45%までとかなり開きがある。ということは富裕層が増えれば増えるほど、税率が高い分税収が増えることになる。そして現在税収の多くが社会保障費に充てられているので、相対的にこの費用も増えることになる。結果、年金、健康保険、生活保護の額や範囲を広げられるので、実は富裕層が増えたほうが庶民の暮らしに余裕ができるのだ。

 一応貧富の差を無くした場合のことも言っておくが、今の所得の中央値が195万円~329万9,000円のクラスになると思われるので、税率は全員10%ということになる。それより上のクラスがごっそりいなくなるのだから、税収が減るのは明らかだ。

まとめ

 格差が無いのは理想ではあるが、平等にすると総量が減るので、一人当たりの分け前も減り全員貧乏になる。むしろ貧富の差があったほうが貧困層へ回ってくるお金も増えるので、得るものが大きい。なので富裕層をいかに増やすかが、貧困救済へのカギではなかろうか。

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