しかし、実際に雇用するのは会社などの組織であり、そこはビジネスの場である。チームを組みながらもお互いに切磋琢磨することが求められ、他社としのぎを削るシビアな場である。福祉の世界観とは真逆と言っていいほど、価値観や厳しさ、お金の感覚が違う。どうもそこが福祉系の人には見えておらず、採算が合わないという事態を招いている。
そこでビジネス、お金の観点から障害者雇用を見ていき、福祉関係者に足りない視点や抜けている計算を紐解いていく。
そこでビジネス、お金の観点から障害者雇用を見ていき、福祉関係者に足りない視点や抜けている計算を紐解いていく。
福祉系は慈善事業の範疇でしか考えていない
さて福祉とビジネスでは活動しているフィールドが違うので、目的もレベルも根本的に異なる。福祉の方は、障害者が社会参加できることを目的としているので、少しでも就労できればOKという考え方だ。補助金が出ることで赤字補てんができるのであまり成果に囚われる必要がなく、障害者の満足に重点を置きがちだ。
これに対してビジネスには補助金はないので、自力で経営を維持しなくてはならないし、責任も問われる。その癖、倒産させたら多くの被害者を生むので赤字経営をする訳にいかず、絶対に黒字に持っていかなくてはならない。となると、採算が合うかどうかの判断はおのずと厳しくなる。
障害者が採算を合わせるには
ビジネスの世界はそれくらい厳しい世界だから、障害者を雇うことの採算性も必ず計算に入れる。実際に障害者を雇うとなると、結構コストがかかるものだ。設備工事が必要になったり、教育・相談係を別途付けなくてはならなくなったり、障害者が苦手とする業務を別の従業員が追加で割り振られたりすることで、余計な経費が増える。
会社としては経営を維持するためにこれを減価償却しなくてはならないので、その分の売り上げを作ってくれないと意味がなくなる。なので、障害者にはそのコスト分も含めた売り上げ増を作る責任が生じる。障害者は人の2倍稼がないと戦力にならないのだ。
福祉の世界は将来を見据えていない
しかし、福祉系の人達は障害者のことしか眼中になく、障害者の就職をゴールにしてしまっているから、会社の採算のことまでなかなか考えていない。障害者の相談は引き受けても、採算悪化の責任までは負わない。自分の会社ではないから、他人事でしかない。
そうなると会社側も障害者を雇うメリットがなくなり、無駄なコストでしかなくなるから、障害者雇用を渋るようになるだろう。なので、少しでも働ければいい、わずかでも役に立てればいいというのでは、全く意味がない。
会社は慈善団体でもNPOでもないので、参加することに意義があるでは困る。障害者雇用を斡旋するなら、収益性を必須としないと存在意義がなくなる。

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