リスクヘッジのために活用される金投資
ここ近年リスクヘッジを利かせられる投資対象が無くなってきたと言われていますが、その中で唯一とも言える株式の値動きと相反関係になりがちな投資対象が、「金投資」ではないでしょうか。私も分散投資するにあたって、金を一定量所有しています。
金は国際的に取引される商品だし、それそのものに価値があるので、現物資産として信用されています。さらに、国際紛争や大規模な経済不安が起こると株価は暴落しますが、反対に金相場は上昇します。そのため有事の金とも言われ、このような事態に見舞われた時に人気が高まります。
そんな他の金融商品とは違った性質を持つ金について、初心者向けにお話します。
金投資の基本
そもそも金は国際商品の一つなので先物取引(コモディティ)の一つです。ニューヨークやロンドンなどの市場で取引されていて、日々値動きがあります。ただこの市場は、主に金を取り扱う企業が取り引きする場なので、一般人が参加するのはまず無理です。
なので、我々一般人が金を買おうと思ったら、代理店を通じて買う金現物取引がメインとなります。これは、貴金属店や非鉄金属を取り扱う会社の店舗、一部証券会社から購入します。価格はニューヨーク金先物取引価格などをもとに、一日一回各会社ごとに決定します。
金の買い方
では実際にどう買うのかですが、2通りに分かれます。金地金と純金積立です。
金地金
主に店頭で金地金と言われる現物の金を売買する方法です。この金地金と言われるものは、一般に言う金の延べ棒(インゴット)です。これを目の前にしながら売買し、買った場合は基本的に持ち帰り、家で保管します(あまり量が多いと、販売店で保管してくれる場合もあります)。各種大きさがあり、好きなものを選べます。
たださすがにそれは高くて手が出せないという方、ご安心ください。もっと気軽に買えるタイプがあります。それが、地金型金貨です。カナダ、オーストラリア、オーストリアといった国が鋳造し、地金同様に扱われる金融商品専用(一般の買い物には使えない)の金貨です。1オンス、1/2オンス、1/4オンス、1/10オンスと4サイズあり、インゴットよりもお手頃価格で買えます。
金地金の良さは何と言っても、現物を手にできるというところです。現物を持っていけば、別のお店であっても換金できますし、ネットを介さず売買できるメリットもあります。
売却益に関しては、譲渡所得として申告します。
純金積立
こちらは一定額分の金を買って積み立てる方式です。金額は自分で指定できます。アナログな方法でもできなくはないでしょうが、ほとんどの人はネットを用いて取り引きしているのではないでしょうか。
積み立てた金を時価で換金することができたり、申請すれば金地金としてうけとることもできたりします。
個人が営利目的で頻繁に売却していれば雑所得、年数回程度の売却だと譲渡所得になります。
余談ですが、店舗によっては銀やプラチナも積み立てることができます。ただしこの二つの金属に関しては、地金に交換することができない店舗があるで、帳簿上の取り引きのみということになります。
金投資のメリット
株式投資も合わせると、リスクヘッジの役割を果たすことが多いです。株価が下がった時に金相場が上がれば、その損失を穴埋めしてしてくれるので、多くの投資家が保険として買っているようです。
さらに最近は半導体の材料としても使われるようになったことから、金の消費量が増えているので、ここ10年以上相場が右肩上がりになっています。
もう一つ加えて言うと、先ほど有事の金と言ったように、大規模な社会問題が発生すると高騰するという特徴があります。過去には、9・11アメリカ同時多発テロ、リーマンショック、新型コロナ第1波など、世界に衝撃を与えた事件の際に高騰しました。
これには理由があって、こういう事件が起こると煽りを受けて企業活動が停滞することから、多くの会社の業績が下がることが予想されます。それを見込んで多くの投資家が株式相場から手を引きます。ただ、現金を手元に残しておいても資産は増えないので、投資家は新たな投資先を見つけなくてはなりません。そこで白羽の矢が立つのが金なので、買い注文が殺到し価格が高騰するのです。
金投資のデメリット
金投資の最大のデメリットは金利がないことです。融資しているわけではないので、株式投資のように配当金や株主優待があったり、投資信託のように分配金があったりするわけではありません。あくまで現物取引なので、値上がりによる差益で儲ける他ないのです。
※投資はあくまで自己責任です。他人に責任を問うことはできませんので、ご自身の責任の下で行ってください。
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