世界遺産検定・2級と3級の違い

 最近私は世界遺産検定2級の試験を受けた。数年前に試しに3級と4級の試験を受けて合格したのだけれど、手前味噌ながらかなり高得点が取れたので、もしかしたら2級も取れるのではないかと思い今回挑戦した。

 正直、難しいかどうかは言及したくない。それは細かなことまで勉強していれば、どんな試験であっても合格できるものだからだ。それに難しいと言ってしまえば、自分の勉強不足の言い訳になってしまう。

 なので今回は難易度という観点ではなく、フラットな視点で前回との違いを見ていきたい。

英語の文章題

 まず大きく違ったのは、英文の問題が出題されたこと。私が3級、4級の試験を受けた時は全く出題されなかったが、今回や直近の過去問題集でも一問出題されている。世界遺産検定のHPを見たら2級に限らず、3級、4級でも出題されるようなので、これは級による違いではなく、ここ近年の傾向らしい。性質上、観光運輸産業との関連が強いため、検定保有者は外国人観光客と話す機会は多い。それを見越しての出題だろう。

 出題のし方としては、英語で書かれた説明文から当てはまる世界遺産の物件を選ぶ設問か、空欄に当てはまる英単語を選ぶ設問だ。実際のところ、英文自体が読めなくても固有名詞や数詞が入っていれば、それに該当する物件は自ずと特定できるので、正解を導き出すのはそれほど難しくない。

登録基準の番号と内容

 2級になって出題されるようになった顕著なものが、登録基準だ。屋久島は何番の登録基準が適用されているかとか、姫路城はこの番号の登録基準が適用されているが、その内容とは何かといった設問だ。どういった価値が評価され、それがどの番号の基準に当てはまるのかというところまで知っていないと、なかなか解けない。3級までなら時代背景や大まかな性質だけで対処できたが、2級になるとそこまで具体的になるので、より細かいところまで知っておく必要がある。

外国の物件からの出題範囲が拡大

 基本的に日本の世界遺産は指折り数えられるほどしかないので、出題範囲は変わらない。問題は海外の物件からの出題が増えるということだ。3級なら100件なのだが、2級になると一気に300件まで拡大する。その中には日本人には馴染みの薄い物件も大量に含まれる。

 ヨーロッパだとギリシャ・ローマ文明の遺跡やキリスト教の教会群が多いし、近年だと産業革命遺産の登録数も多い。中東・中央アジア・北アフリカだとイスラム教やキャラバンの主教施設や古代文明の都市遺跡が多い。アフリカ中南部は自然遺産、南アジアと東南アジアは仏教遺跡とインド諸王朝の建築がメインとなろう。東アジアは中国の史跡と景勝地が選ばれがちなので、ターゲットは絞りやすい。南北アメリカの自然遺産は氷河が関係する山岳地帯が多く、文化遺産はアステカ、マヤ、インカが主だ。特にマヤ遺跡の登録件数は多い。

 そしてこれらの物件は各々特徴が共通しているので、数珠繋ぎ式に覚えると簡単だし、あとは個別の特徴をつぎ足しつぎ足しで学べば、広くカバーできるので点を取りやすいだろう。

世界遺産の創設に至るまでの経緯

 3級までだったら、エジプトのナイル川にアスワンハイダム建設に伴う、ヌビア遺跡の水没がきっかけとなったことと、これによりアブシンベル神殿の移設工事や保護の活動くらいを覚えていれば解ける。

 しかし、2級となると第2次世界大戦で教訓や戦時における文化財の保護の在り方などにまつわる条約も出題される。さらに、これによって組織された団体やその後締結された条約なども出題される。加えてそれぞれの年代順も把握しておかないと解けない。

日本の世界遺産は登録までの経緯も出題

 日本の世界遺産は2023年現在文化遺産が20件、自然遺産が5件ある。裏を返せば25件しかない。なので、特徴や評価基準だけではネタが尽きてしまう。なので、登録までのすったもんだも出題される。例えば、長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産では一度登録延期勧告を受けたことで、諮問機関であるICOMOSとアドバイザー契約を結び登録名とコンセプトの変更を行ったことが出題されたことがある。

人類の進化の痕跡

 ここ近年出題されることが多いのが、人類の化石の出土地域だ。アウストラロピテクスやジャワ原人などの遺跡について触れられることがあるので、頭の片隅には置いておきたい。


 以上のようにかなり専門性の高い出題が多くなることがわかる。ただ、文化遺産に関しては歴史と時代背景と地域性をセットにして覚えれば、複数の物件をまとめて覚えられる。自然遺産は地形・資質系か生物学系かに大別できるので、その分類をした上で特徴を学べば整理しやすいだろう。

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