多くが知らない差別の構造

  近年になってブラック・ライブズ・マターやLGBTQ運動など、差別が取りざたされるようになりました。そうなると、差別が良いか悪いかという話に行きがちですが、ここでは趣向を変えて、そのメカニズムについて分析したいと思います。

差別は一人では起きない

 まず前提条件を見ていきましょう。差別をしたとされる側と差別を受けたと訴える側の間で起こります。一人しかいない空間で暴言を吐いたとしても、訴えられることはありません。反対に自分一人しかいない空間で被害を受けるというのは有り得ないので、差別が発生しません。よって、相手と自分、二人(もしくはグループ)が、前提条件になります。

 となると、よく巷では差別をしたのか否かという一つの軸で語られがちですが、差別をしたとされる側と差別を受けたと訴える側二つの軸が存在するのがわかります。言い換えると、行為の良し悪しの軸と差別されたと捉えるかどうかの軸です。

差別における4タイプ

 言葉で説明してもわかりにくいと思いますので、図にしてみました。


 横軸が行為の良し悪し、縦が被害者意識です。行為者が別々なことから基準も異なるので、軸も別々になります。では、一つ一つ見ていきましょう。

A:良識的行為をしていて、被害意識もない

 これは周りが見ても行為が良識的の範疇にあると判断でき、差別を受けたとの訴えが無いケースです。お互いに実害が無く、特に問題がないと言える状態です。被害を与えていないのに、行為者が差別的なことをしてしまったのではと不安になっているケースも、こちらに入ります。

B:差別的行為の疑いがあるが、相手が認識していない

 こちらは、実際に差別的な行為があったにもかかわらず、受け手が気づいていないケースです。相手が寛容過ぎる場合と、鈍感だったりだまされていたりしている場合が、考えられます。

C:差別的行為が判明していて、被害を認識している

 Cは一番わかりやすいケースです。実際に差別的行為が確認されており、それを受け手が認知している状態です。

D:良識的範囲の行為だが、被害を訴えられている

 これが最も複雑なケースではないでしょうか。客観的に見て行為が良識的であるにもかかわらず、被害を受けたと訴えているケースです。


 本来差別されたかどうかは、行為があったかどうかで判断するものなので、上の図の横軸を基準とするのが妥当です。よって、BCが処分の対象となります。

 にもかかわらず、日本の国民性なのか論理的思考が苦手なのか、事実確認をするべきところで被害者の気持ちを勘案してしまい、判断基準が縦軸になるケースが多々見受けられます。これだと、B認知されていない差別を見逃す一方、D言いがかりや冤罪も引き起こしております。

対策は?

 Bのケースは、周りの人がよく観察し見つけてあげて、被害者に教えてあげることが必要です。そのためにも本人は、普段から周囲の人と良好な関係を築き、信頼関係を作っておくことが大切です。特に、虎の威を借りる狐ではないですが、より地位や権威の高い人を味方につけておくと、その権限や威光で処分を下すこともできるので有効です。

 問題はDのケースです。単に世の中の仕組みがわかっていないのなら教えてあげればいいのですが、事実無根の訴えをしてくる時点で思い込みが激しいのがわかるので、恐らく聞き入れない可能性が高いです。

Dのタイプの問題点

 そもそもこのタイプは白黒思考や二極思考を持っており、自分は絶対正しいという考えから他人の事情を考慮せず、自分の片寄った価値観だけで相手を非難する傾向にあります。この特性から、たくさんある可能性の中の一つに過ぎないことでも、他を考慮することなく「これだ!」と思い込んで決めつけてきます。かなりパターン化された判断しかできないので、グレーゾーンやケースバイケースで対応やニュアンスが変わるというのがわからないのです。

 さらに他者に完璧を押し付け、少しでも違うと激昂したり被害者ポジションに入ったりと、対人トラブルが絶えません。本人には自覚がありませんが、思考の分野に関してはかなり自閉的で主観的にしか物事を捉えられず、何でも他人のせいにするので、周りに対して不安感や不信感が強く、他人を疑う癖が付いていて口論になりがちです。つまり、客観的に物事を捉えたり、自分を見つめ落ち度を認めるだけの人間力が無いのです。

 そのくせ、自分の心の穴を埋めるために積極的に人とかかわろうとする人も中にはいるため、余計にトラブルの回数が増え、より自信や自己肯定感を下げるという悪循環に陥るケースも見られます。実際は一人でいると自分の嫌な部分、汚い部分を見つめる時間ができてしまうので、そこから逃れるために人とかかわろうとしている可能性も考えられます。

 とにかく、よく心理や自己啓発の場で、このタイプから離れましょうと言われます。それが一番無難で確実な対処法ですが、本当のところその人をたらい回しにしているだけで、根本的解決にはなっていません。真に必要な対策は、精神科へ連れて行って時間をかけて認知の歪みを取り除いていくことだと思います。まあ、かなり難しいですが・・・

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