2023年5月29日月曜日

株式投資における、確定申告方法の使い分け

 5月21日の記事で、各種投資の確定申告及び税率について書きましたが、株式投資(証券投資信託も含む)に関しては複数の申告方法があり、それによっても税率などが変わってくるので、今回はそのタイプ別活用方法について述べたいと思います。

株式投資の申告方法は3種類

 一部、前回のおさらいになりますが、株式投資の場合、確定申告の方法が3種類あります。総合課税、申告分離課税、申告不要(証券会社が代行)です。それぞれ申告手続きに違いがあります。

総合課税 ・給与などの他の収入と合算して申告
・一般の所得税の累進課税制度が適用される
・配当控除が受けられる
・譲渡損失との損益通算ができない
・自身で確定申告が必要
申告分離課税 ・給与などのメインの収入とは別枠で申告
・税率は一律20.315%(一部20.42%)
・配当控除はない
・譲渡損失との損益通算ができる
・自身で確定申告が必要
申告不要 ・証券会社が代行して別途申告
・税率は一律20.315%(一部20.42%)
・配当控除はない
・損益通算できない

といった内容になっています。全てにおいて有利なものがないため、自身の状況に合わせて使い分けないと、税額やコストが変わってきてしまいます。なので、ケースごとに何が得になるかを考えてみたいと思います。

物臭な人には、申告不要がおススメ

 これはシンプルで一番わかりやすい。最も手間がかからないのが、申告不要です。証券会社のほうで代行して申告してくれますし、税金も源泉徴収され代わりに収めてくれるので、自分では何もやらなくてよいからです。普段会社勤めをしていて時間をとれない人とか、家事や子育てで忙しいという人には、取引のみに時間を割くことができるので良いかもしれません。

 ただ、デメリットもあります。まず、税率が20.315%に固定されるので、小額投資の場合は税率が高くつきます。さらに、配当控除が受けられないのと、損益通算(損失を他の収益で穴埋めすること)ができません。そのことから、スタートアップの時点では最も納税額が高くなる可能性があります。

できる限り税金を抑えながら始めたいなら、総合課税

 先の表にあるように、総合課税の特徴は唯一、累進課税制度と控除が適用されるということです。累進課税制度とは、収入の少ない人の税率は低く、収入の高い人の税率は高く設定する制度です。この収入の少ない人の税率は低くの部分を活用すれば、納税額を抑えられます。次の表をご覧ください。

課税される所得金額 税率 控除額
1,000円~194万9,000円 5% 0円
195万円~329万9,000円 10% 9万7,500円
330万円~694万9,000円 20% 42万7,500円
695万円~899万9,000円 23% 63万6,000円
900万円~1,799万9,000円 33% 153万6,000円
1,800万円~3,999万9,000円 40% 279万6,000円
4,000万円以上 45% 479万6,000円
※実際にはこの税率に、復興特別所得税0.315%が加算されます。

これが累進課税の比率です。所得金額が330万円~694万9,000円になると、申告分離課税と同じ税額になるのがわかります。しかも、控除も受けられるので、収入の合計額が694万9,000円までだったら総合課税で申告したほうが税率が低い分、納税額が安くなるのがわかります。投資を始めたばかりでできる限り出費を抑えたいなら、この方法が最適です。

 ただし、この手を利用するためには自分で確定申告しなくてはなりません。そのために、いくら儲けたのか記録をつけ、集計する作業が必要なので、かなりまめな人でないと年始に苦労するかもしれません。

 さらに、収益が大きくなると累進課税制度による税率のアップで、納税額が大きくなります。あくまで、個人投資家の節約術といったところでしょうか。

投資額が大きくなったら、申告分離課税

 申告分離課税の大きな特徴は、どんなに収入が増えても税率が一定ということです。累進課税制度の適用を受けないので、税率がアップするということがありません。なので、収入が695万円以上になったら、申告分離課税へ切り替えると納税額を抑えられます。給与収入や事業収入の場合は法律上、総合課税に分類されるので収入が増えても累進課税制度適用のままですが、投資の場合は申告分離が可能なのでこの手が使えるのです。

 さらに、投資の場合は相場の関係上、損失を計上するケース(損切り)もありますが、この損失を他の上場株式から得た収益で穴埋めすること(損益通算)まで認められているので、より効果的です。

 ただし、この場合も自身で確定申告する必要があります。もっとも、ここまで収益が大きいともはや投資だけで生活できるレベルなので、時間が取れるかもしれませんが。

 それと、配当控除が受けられません。とはいえ、税率アップのダメージよりは小さいので、総合的に考えると申告分離したほうが得です。

なにはともあれ、NISAはやろう

 そして最後に、日本政府の政策として導入された投資の優遇措置であるNISAですが、これはどの事例であっても入ったほうがお得です。なにせ、一定額が非課税になるからです。一般NISAは口座開設から5年間限定で年額120万円まで(2023年まで開設に限る)、積立NISAは開始した年から20年間年額40万円まで非課税なのです。

 さらに、2024年からNISA制度が大きく変わります。最大のメリットは、無期限になったこと。今までは期間を区切られていましたが、なんと政府が終了と言わない限り一定額が永久に非課税なのです。

 加えて非課税枠の金額も大幅にアップし、併用も可能となるとのこと。投資を始めるのに、こんなにおいしい制度はありません。ぜひ、活用しましょう!

2023年5月21日日曜日

投資の税制面での特徴

 多くの方は会社勤めをして収入を得ているかと思います。その際、給与は給与所得に区分されるので、納税の際に累進課税制度に合わせて税率が適用されます。庶民の場合は所得が低いため、5%、10%あたりで済みますが、所得が増えると最高で45%も取られ、負担が増えてしまいます。

 しかし、投資の場合はこの税率が適用されません。ではどうなっているのでしょうか?

投資は給与所得に区分されない

 日本の場合、投資をしている人の割合が1割程度しかいないので、自分には関係ないと思って、知らない方のほうが多いと思います。しかし、ここ近年は少しずつではありますが、投資に挑戦する人の数が増えており、無関係ではいられない状況になってきています。

 ただ、いざ初めてみると様々な違いがあります。その一つが所得区分です。

 投資の場合、労働対価としてお金を手にするわけではないため、給与ではありません。かといって、何か商売を始めてその売り上げからお金を得ているわけでもないので、事業所得にもなりません。

 実は、所有している金融資産の種類と収入の出所によって複数の区分に分かれます。

利子所得

 預貯金や債券(国債、地方債、社債などの公社債)の利子、金銭信託、貸付信託、公社債投資信託の収益分配金が、利子所得の区分になります。税法上は総合課税ですが、一般的には源泉分離課税方式が適用されます。

利子所得の金額=利子収入額(源泉徴収される前の金額)

 そして税率は、

所得税15%+地方税5%+復興特別所得税0.315%=20.315%

になります。

 さらに、利子所得には累進課税制度は適用されず、金額にかかわらず税率は一律です。

配当所得

 株式や証券投資信託を所有すると、配当金や分配金が定期的に支払われます。その収入が配当所得にあたります。

配当所得の金額=配当収入額(源泉徴収される前の金額)ー負債の利子※
※株式や投資信託を購入するのに、借入金がある場合

 税率に関しては一部選択制になっており、これによって異なります。原則としては、他の収入と合算して総合課税として扱われるので、その合計金額に応じた累進課税税率が適用されます。この場合、配当控除が適用されます。

 しかし上場されている銘柄などについては、申告分離課税もしくは確定申告不要(証券会社を通じて源泉徴収されるので)方式も選べます。この場合は利子所得と同じく一律、

所得税15%+地方税5%+復興特別所得税0.315%=20.315%

の税率となりますが、非上場株式などは、

所得税20%+復興特別所得税0.42%=20.42%

の税率となります。申告分離課税と確定申告不要の場合は、配当控除は適用されません。

 ちなみに、申告分離課税を選択した場合は証券会社で源泉徴収されないので、確定申告しなければなりません。その代わり、上場株式等の譲渡損失(損切り)との損益通算ができるので、節税対策として選ぶ方もいます。

総合課税 申告分離課税 確定申告不要
 税率 他の収入と合算した
金額に応じて課税
20.315%(上場株式等)
20.42%(非上場株式等)
 確定申告の必要性 ×
 配当控除の適用 × ×
 上場株式等の譲渡損失との 
 損益通算
× ×

譲渡所得

 株式や証券投資信託などを売却した際の収入は、譲渡所得に区分されます。自分から他の投資家へ株式を譲り渡すからです。譲渡所得の金額は、譲渡価格(売却価格)から取得費(購入額)と譲渡費用(手数料など)と負債の利子(借入金を使って株式などを取得した場合)を差し引いた額になります。

株式等の譲渡所得の金額=譲渡価格ー取得金額ー譲渡費用ー負債の利子

 株式や証券投資信託などを譲渡した際、税率は一律20.315%所得税15%+地方税5%+復興特別所得税0.315%)で、申告分離課税されます。

累進課税制度が適用されない場合が多い

 今見てきたように、投資の場合は株式等で例外はありますが、そのほとんどが一律20.315%固定税率を適用されるという特徴があります。投資による収入が小さい時は、給与収入より税率が高くて負担が大きいですが、累進課税制度が適用されないので収益が増えるほど節税効果が表れてきます。

 なので会社の経営者などは報酬を現金では受け取らず、自社株買いする形で受け取ることで税率を下げ、さらに株価上昇に伴う差益も受け取ることで収入を増やす手を使う人もいます。

まとめ

 このように、給与収入や事業収入と異なって、投資によって得た収益は大きく税制に違いがあります。特に、固定税率というところを活用するのは資産家の常套手段となっています。そしてこの制度は身分関係なく庶民にも適用されるので、私たちも長年投資に携わればその恩恵を受けられる可能性が出てきます。

 なので、資産管理の一環として、将来の資金作りのために、投資をする手もあるのではないでしょうか。

2023年5月15日月曜日

意外に勘違いしている、相手の立場に立つということ

 叱られている時などによく、「相手の立場に立って考えなさい」と言われたことがある人は多いと思います。でも実際のところ、お互いの脳が繋がっているわけではないので、中々相手がどう思っているのかわからないですし、想像したとしても確認しないことには合ってるかどうかわからないものです。

 ただ相手の考えを推察するのが割とできる人と、いつも的が外れていてできない人がいるようです。しかも、相手の考えを読めないと出方がわからないので、間違った対応をし、対人トラブルを頻発させ、不幸せになる原因になります。そこで今回は、この両者の違いはどこにあるのか、分析します。

相手の考えを読み間違える人

 では、相手の立場に立っているつもりで、推察できていない人にありそうなパターンを列挙していきます。

「自分だったらこうする」がベースになっている

 相手の立場に立っているつもりになってる人がよくやりがちな、ベースの思考パターンがこれです。発達障害の人に多いそうですが、相手を自分に置き換えて考えるやり方をしてしまっているのです。

 「もし自分がこのシチュエーションになったらこうする」とか、「もし自分がこうされたらこうリアクションする」とかといった思考法で、要は自分と相手のシチュエーションだけを入れ替えているのです。でも実際には価値観や判断軸も違うし、そうなった相手の背景もあるのですが、そこまでチェンジした上で考えるという習性がないんです。

 その結果、立場を入れ替えたとしても自分の価値観と自分の判断軸でしか考えておらず、自分視点から抜け出せず、相手のことを考えない人、自己中な人という評価を得てしまいます。

深く考えず、決めつける癖を持っている

 頭を使うのもかなり面倒な作業なので、脳は本能的かつ無意識にサボる癖があります。そこで採られやすい手段が、「決めつけ」です。決めつけてしまえば、それ以上考えなくてよくなるので、脳はサボることができます。

 ただ、深く考えての判断ではないので、非常に浅はかなものになりがちです。しかも、決めつけはパターン化された思考なので、ケースバイケースで考えていません。なので、個々の相手と合うはずがありません。だから、読みが外れるのです。

人の行動パターンの引き出しが少ない

 とはいえ、知識と経験がたくさん身についていれば、パターン化された思考でもそのバリエーションによってカバーすることができなくはありません。しかし、相手のことを推察できていないということは、この引き出しも少ないことがわかります。

 そして、これはいくら人付き合いの数をこなしても、自分の糧として身につけるノウハウが無かったら、増えていきません。単純にたくさん人と合えば、勝手に身につくというものでもないのです。

誘惑に負けやすく、我慢や妥協を知らず、自分を優先しがち

 相手の気持ちがわかるわからない以前に、尊重する気が無いタイプです。仮にあったとしても、目の前に自分の利益になるものがあると、そちらに目が奪われ、結果的にその気が無くても相手の立場を蔑ろにしてしまいます。

言葉だけで判断する

 必ずしも相手が本音をいうわけではないし、お互いの国語力のレベルにもよるので、言葉を額面通りに解釈すると相手の考えを読み間違います。

 例えば、社交の場ではお世辞や建前で話す機会が多いですが、真に受けるとひんしゅくを買います。友達付き合いでも、悩んでいるにもかかわらず相手が「大丈夫」と言って、本音を言わないケースもよくあります。ここでどうしたのか尋ねなかったら、空気読めないヤツと判断されるでしょう。

自分を疑わない、相手に確認しない

 そもそもの話として、読み間違えているかもしれないことに気付いていないことのほうが、多いかもしれません。そこに気づくためにはまず、自分を疑うことから始まりますが、大抵の人はやっていないのではないでしょうか。

 そして、疑う癖を持っていたとしても、それが合っているかどうかは当人に聞かないとわかりませんが、ほとんどの人はやっていないでしょう。これでは、相手の考えが読めているのかどうか、わかるはずありません。

読み間違いからおこるトラブル

 このように相手の立場に立てないケースが様々あることが、考えられます。では、相手の立場に立てないとどうなるのでしょうか?

自分基準でしか考えない

 共通して起こる現象としては、自分の事しか考えられなくなる事でしょう。相手の視点、相手の価値観でシミュレーションしないのですから、常に自分視点、自分基準の考えや判断になります。

 その結果、相手のためにしたつもりが、自分の利益にしかなっていないとうことが起こります。そして、そのことに自分が気づいていないため、傍からは自己中心的、利己的という評価を受け、遠ざけられます。

ありがた迷惑

 仮に自分が相手のためと思ってしたことであっても、相手の価値観や相手のニーズを汲み取っていないので、的外れなものとなります。それは相手にとって余計なお世話で、ありがた迷惑にしかなりません。

 これが何度も続けば、空気が読めない人、独りよがりな人というレッテルを貼られてしまいます。

仕事にも支障が出る

 お客様のニーズを汲めないので、希望に応えられなかったり、ヒット商品を生み出せなかったりします。そうなれば、営業成績が伸び悩むことになるでしょう。

 相手が上司だった場合は、気の利かない人、TPOをわきまえず、臨機応変に対応できない人となり、仕事での評価が下がります。

自分のエゴを押し付ける

 立場を入れ替えても自分の価値観で考えるわけですから、エゴの押し付けになります。相手の価値観を排除していることにもなりますので、思想、信仰、言論の自由を奪うことにもなります。それは相手を尊重していないですし、民主主義の精神に反しており、人権を侵害しています。

ケンカや口論が増え、人間関係が悪化する

 一番問題になりやすいのはこれでしょう。自分以外の価値観があるのがわからないので、自己中心的にならざるを得ないのですから、わがままに映ります。

 そうなれば普通は相手が憤慨するのは容易に想像できるのですが、自分視点でしか見ていないので他の視点に気づかず、他人の判断軸の存在を知らないので、そこに抵触してしまいます。

 結果、頻繁に地雷を踏んでしまい、ケンカや口論になるケースが増え、上手く人間関係を作ることができなくなります。

欲求不満が増え、精神が不安定に

 人間関係のトラブルが増えれば、おのずと精神にも悪影響が出ます。欲求不満やストレスが蓄積することになるので、情緒不安定や鬱傾向、自己肯定感の低下を招きます。これが長期間続き、生活に支障が出るようになると、精神疾患の発症や再発と診断されます。

間違わずに相手の立場に立つには

 これらのトラブルを回避するためには、相手の立場、判断軸で物事を考えられるようにならなければなりません。では、どうしたらよいのでしょうか?

自分の価値観、判断軸を一時的に脇に置いておく

 自分と相手は別の生き物なので、考え方、価値観、判断軸は異なります。そこから導き出される決断も異なるものになります。家族であっても遺伝的要素、環境、知識、知能など、全く同じということは有り得ないからです。まずこのことを肝に銘じなければなりません。

 なので、自分の軸は一時的に脇に置いといて、相手の軸で物を見て、相手の価値観だったらどう判断するかを考えるのです。

 ただし一部の人で問題になるのが、「自分の考えや価値観を捨てろということですか?」とか、「自分のほうが相手に合わせろということですか?」と思っていることです。これは違います。こういう人は、全ての物事を自分と紐づけて考える癖を持っている人です。通常は精神発達の過程で徐々に他人と自分を切り離していくのですが、それができずに止まっているのです。

 しかし、自分の頭の中で一時的に相手の価値観で考えること自体、実害はあるでしょうか。ないはずです。むしろ相手の出方が読めるようになれば、角を立てない対策が打てるので、自分の価値観をキープしながら柔軟な対応ができるようになります。

 実際、会社で自分の意見を通そうとした際に、上司の都合やポリシーを無視して、自分の考えをダイレクトに伝えたら却下されるでしょう。ここで相手の立場に立てたら、先回りできたり一段深い考えになったりして、上司からの印象が良くなり、自分の考えを採用してもらいやすくなります。しかも、採用されているということは、自分の考えを捨ててないですよね。

 相手の価値観で考えるのは、あくまで自分の価値観を通すための手法に過ぎないのです。

個々ではなく総量で、手に入れてない物ではなく手に入れた物を見る

 相手の立場に立てていない人というのは、どうしても個々の物事に集中し過ぎて、周りが見えていないことが多いです。

 例を挙げましょう。あなたの周りには、A、B、C、Dの4人がいます。あなたは今何も持っておらず、Aはリンゴ、Bはミカン、Cは桃、Dは梨を持っているとします。あなたにはリンゴがないので、Aから半分もらいます。ミカンもないですから、Bから半分もらいます。さらに、C、Dからも半分ずつもらいます。

 一見半分ずつ分け合ったので平等のように見えますが、違います。A~Dは元々持っていた果物の欠片しかもっていません。つまり1/2だけです。しかしあなた<B>だけ</B>は、4人から<B>「全種類」</B>もらっている上、分量に関しても1/2×4で、2個分となります。これは公平ではないので、相手の立場にたった判断とは言えません。

 なので、手に入れたものの総量を見ないと、相手の立場に立った考えとはなりません。

面倒くさがらずに、複数のパターンで、しっかりと考える

 決めつけ癖があるという人は、怠けたいという脳の本能に流されている人です。楽ではありますが、それではいつまでも相手の視点を身に着けることができないため、自分本位のままで、良好な人間関係を築くことができません。

 そもそも、人間関係は人類の長年のテーマで、簡単に決めつでこなせるほど容易なものではありません。お釈迦さまや古代ギリシャ、ローマの哲学者、古代中国の孔子ですら長い間答えを見出せずにいたのに、一凡人に過ぎない我々が直感でわかるなど、過信にしか過ぎません。

 なので、しっかりと自分で考える習慣を身に着けることが、まず大事です。

合ってるかどうか確認する

 恥ずかしがってやらない人がほとんどだと思いますが、確認しないことには合っているかどうかわかりません。

 さらに確認することで、他人の価値観や判断軸の引き出しが増えるので、相手の立場に立つ精度が上がります。そうすることでズレを修正できますし、客観性も身に着きます。

言葉だけに頼らない

 人間のコミュニケーションは、言葉だけで行われるものではありません。表情や仕草、体調にも表れ、むしろそちらのほうが真実を伝えている場合も多々あります。

 さらに、言葉だけでは表現しきれないものも無数にあり、言語だけでは全体の30%しか読み取れなかったという研究があります。

 なので、言葉以外の変化にも目を向けましょう。