歩き方に出る男女の違い

 トランスジェンダーの方にとって一番の懸案は、「他人から女性に見えるのか?」ということではないでしょうか。そこで、女性的な仕草を取り入れようとするも、なかなかそうは見られないといって悩むこともしばしば。

 それもそのはず、男性的要素を残したまま女性の仕草をしても不自然だからです。そのためには男性的な要素もトレーニングをして、薄くする必要があるのですが、意外とそこに気づいていない方がよくいます。

 私は男→女へ性別移行すると決めてもう20年以上生活しており、ホルモン投与のため長年ジェンダークリニックへ通っている中で、複数のトランスジェンダーの方を見てきました。可愛くて上品であるがゆえに思わず振り返りたくなる方もいれば、男性であることがバレバレで発展途上の方も多く見受けられます。

 そんな発展途上の方を何人か見てきて、いくつかの共通点を発見しました。その内の一つをご紹介します。

男性的な歩き方の癖が付いたまま

 発展途上の方、特に中高年トランスの方によく見られるのが、男性的な歩き方です。歩く時って無意識だし、鏡や動画を通さないと自分で自分の動きを見ることはできないので、自分では気づきにくいです。でも、日常よく見かけるシーンであり、全身を使った動きなので目立ちやすく、結構性差が出やすいのです。

上半身の体の揺れ

 一番大きい差が、上半身の揺れです。男性の場合は左右の足をそろえずに歩く人が多く、中高年になるとより顕著になる傾向があるので、足を運ぶ度に体の重心が左右へ行ったり来たりしてしまいます。その結果上半身が左右へ揺れやすく、これが性差として見られやすいのです。


 上の図を見ると、男女で左右の足の間隔に違いがあるのがわかります。これは主に、男女の骨盤の形の違いから来ます。女性は出産をする必要上、胎児を支えたり産道を大きく確保するしたりしなければならないため、骨盤上部が外へ開いています。その結果、これに付随する大腿骨の付け根も外側に寄っており、重心のバランスを取るために大腿骨下部を内側に
寄せる体型になっています。

 結果、歩く時にも自然と足がそろい、重心の左右移動が起きにくいため体の揺れが少ないのです。

 反対に男性の場合、骨盤が閉じているため、大腿骨の付け根が近いです。これだと歩く時に腿の内側がこすれてしまうので、左右の足を離したほうが歩きやすい。ただ、これだとバランスを崩して転んでしまうので、左右へ重心を移動させながらでないと歩けない。なので、揺れが生じるのです。

 この現象は肥満の女性にも起こります。太ることによって腿の内側に脂肪がついてしまうので、足を閉じられないからです。

ガニ股

 男性の中にはガニ股の人も多いかと思います。これも思いっきり男性に見えてしまうので、やめましょう。動きにしなやかさが出ないですし、柄も悪く見えるのでいいことは無いです。

 しかもガニ股は足の力だけで歩くので楽に感じるかもしれませんが、全身を使えていない分、着地の衝撃を分散させられないので、腰に負担がきます。健康上も良くないのです。

 これらを解消するには、トレーニングするしかありません。ファッションモデルのウォーキング練習をして癖をつける。それによって腿の外側の筋肉が発達してくるので、段々と楽にできるようになってきます。さらに新たに筋肉がつくことによって脚痩せもできるので、一石二鳥です。

やらないほうがいい動きもある

小股歩きは×

 小股歩きは着物専用の歩き方と考えたほうがいいでしょう。そもそも女性用の着物の場合、裾が開きにくいため小股でないと歩けず、それが当たり前になったことで自然に見えます。

 しかし、現代では洋服やカジュアルウェアなど欧米から入ってきた衣類を日常的に着るようになったので、西洋人の動きに合わせないとアンバランスに見えます。欧米では女性でも小股で歩くことは少なく、歩く時のストライドが大きいのが特徴です。


 その方が颯爽と歩いているようにも見え、スタイルよく、他人から自信があるようにも見えます。特に元男性の場合は足が長い方も少なくないので、スリムな方であれば尚のこと利点があります。

 ちなみにこのストライドは、先ほどのモデルウォーキングができてくるのに比例して身に着いてくるので、別途何かをやる必要はありません。

内股は×

 内股も日本的といえば日本的な仕草です。確かに童顔の子が内股だと、より幼さが強調されて可愛く見えます。しかし、ある程度年齢のいった人がやっていたらどうでしょう?恐らく多くの方が違和感を持つのではないでしょうか。

 ちなみに欧米では女性であっても内股の人は少ないです。ヨーロッパの伝統舞踊であるバレエに至っては、外股を立ち姿の基本としています。このほうが脚と脚の隙間が空きにくく、スリムでスタイルよく見えます。

 あまりに外股にするのも不自然ですが、並行からちょい開き気味くらいが理想ですし、大概の人の足の向きはこの範囲に収まるので、無理に足の向きを変える必要はありません。しかも、疲れにくいというメリットもあります。

まとめ

 こうして見ると、歩きにも男女差があるのがわかります。さらに時代やファッションの変化によって歩き方も変容しているのがわかります。しかも、これは自分次第で変えられることなので今からでもできます。ぜひチャレンジしましょう。


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