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2026年9月25日金曜日

国家予算額過去最高だからといって、余裕があるとは限らない



 日本の国家予算は毎年過去最大を更新している。このニュースに触れると、一定数が日本はもうかっている、財政に余裕があるという発言をする者がいる。額面ベースで考えれば確かに増えているから、その分余裕が生まれたように見える。

 だが実際にはお金の世界はそんな単純な計算では成り立っていない。実際、各家庭の家計事情を聞くと可処分所得が少ないとか、手取りが少なく生活に余裕がないという話は絶えない。それだけではなく、総合病院の約8割、健保組合の過半数は赤字が慢性化しており、このままでは医療の縮小を免れない状況だ。

 では、なぜ予算が増えてもこんなに余裕がないのだろうか?その要因となっているものを挙げていく。


 予算拡大要因は、経済拡大だけではない


 左翼連中は単純・単一思考が多いので、予算拡大=経済拡大・企業の増収増益による自然増というふうに簡単に決めつけるが、当然予算増額の手段なんぞ複数あるに決まっている。主だったものを見ていく。


 ① 国債

 1つは、国債の発行だ。債券を発行して、それを販売すれば、税金以外からお金を手に入れられる。日本では返済期間によって、3年物、5年物、10年物という3種類の国債が発行されている。

 ただ、上記のように返済期日があるので、永久に使える手段ではないところが懸念点としてある。あくまで臨時の手段に過ぎない。それと買い手がつかないとお金が手に入らないという特性から、信用ランクが下がれば下がるほど利率を上げねばならず、利子の支払いが増えて本来お金をかけたいところに回せなくなるというのもある。


 ② 増税

 これもあまりにメジャーだが、増税も予算拡大の手段としてある。税率を上げることによって、予算額を増やすことができる。国債同様、不景気であっても実行できる。

 面倒なのは、国会での承認手続きが必要で、煩雑なため簡単には実行できないこと。さらに市民生活にも直結するので景気減退に影響しやすく、長期的には失速を免れないこともマイナス要素だ。


 ③ 配当収入

 実は、まだ国は一部の企業の株式を保有している。日本郵政や東京地下鉄(東京メトロ)、高速道路会社(NEXCO3社)など、旧国営企業や旧公団から転化した株式会社の筆頭株主(財務大臣名義)を多く勤めている。株式の保有数や配当額の変更によって配当金の総額が変わるので、多少国家予算に色をつけられる。

 とはいえ、国家予算に占める配当収入なんて微々たるものだから、そんなに大きな変化にはならないが。


 ④ 繰越金

 これも、割と知られているのではないか。確率論的にいって、予算というのはそんなピッタリ±0にはできないから、前年度使い切れなかったり、端数として残ったりしたお金である繰越金が発生することもある。当然、その時その時の状況によって需要が流動的に変化するから、意図せず多く残る場合がある。


 余裕を奪っているもの


 ここからは、何が財政の余裕を奪っているのか見ていこう。この国の真の問題点が見えてくる。


 ① 老後資金のない老人への補てん

 かなり大きな負担となっているのが、老後のことを想定せず十分な貯蓄や資産形成をしてこなかった老人への生活援助だ。長寿高齢化が進む一方で、衰えを阻止することはできず、老後引退しなくてはならなくなるのは、わかり切っていることだ。となれば、無職でもお金に困らない術を確保しなければならないのは、火を見るよりも明らかである。

 しかし、かなりの老人がこの術を用意してこなかった。実際、年金制度の開始が1961年からで、意外と古い制度ではない。しかも、1966年までは35歳以上で月150円、35歳未満にいたっては月100円しか納めてこなかった。その後段階的に上がったり、追加保険料の制度ができたりしたが、1974年までは基礎年金の納付額はたったの900円だった。

※日本年金機構HPより

 そして実際に体に無理が効かなくなって引退すると、納付額と貯蓄額の少なさからたちまち資金難におちいった。これを何で穴埋めしているかというと、現役世代が納めた年金と生活保護だ。今や生活保護の7割が年金不足の高齢者という状況である。

 しかもベビーブームで一気に人口増加した団塊世代の引退も始まっており、さらに依存度が増すことが確実となっている。その後には第二次ベビーブームの世代である団塊ジュニアの引退も迫っており、財政難の状況はさらに高まる。


 ② 障害者や引きこもり

 長年じわりじわりと障害者や引きこもりの人数が増えている。就業していない障害者や引きこもりは生活保護の対象となるため、出費拡大の一因となる。年々精神障害者の数が増加しており、離職した障害者が収入を失って生活保護に頼るケースも多い。

 そして引きこもりは精神の問題と相互関係があるため、長期化しやすい。厚生労働省の平均引きこもり期間の統計を見ると、2005年では8.6年だったのが2019年には12.2年にまで伸びている。

 近年は8050問題や9060問題などと言われ、今まで親の年金で暮らせていたのが、親の死後収入がなくなり生活保護を受けるケースも少なくない。実際、引きこもりの高齢化が進んでいて、2002年には27.6歳だったのが2019年には35.2歳まで上がっている。

 この層の増加も予算の余裕を削る要素の1つだ。


 ③ 協会けんぽへの国費投入

 通常健保組合には国費が使われることはないが、中小企業の従業員などが加入する協会けんぽには年間1兆円(約16~40%)ほどが投入されている。しかも、健保組合が倒産した場合は協会けんぽへ移行するので、もし倒産が増えればこの国費投入額も増やさなければならなくなる。

 実際、現在健保組合の過半数が赤字におちいっており、協会けんぽへの移行が加速している。なので、国費での穴埋めは今後も増えることは間違いない。


 ④ 防衛費増額

 左派の多くが防衛費の増額に反対を表明しているが、周辺諸国とのパワーバランスや国際情勢の不安定化の流れを考えると、仕方のない部分がある。軍縮したウクライナに対するロシアの侵攻、ハマスによる拉致を皮切りにしたイスラエル・アメリカ対パレスチナ・イランの戦闘など、実際に武力行使にまでなっている。

 日本も他人事ではなく、中国の動きを懸念している。尖閣諸島の問題がある上、台湾進攻の可能性から日本へ飛び火することが取りざたされている。中国は南シナ海問題も起こしており、備えや抑止力の拡充の必要性が出てきている。


 まとめ


 この他にもまだまだあるが、国費を必要としている先は多い。特に日本のインフラは1964年の東京オリンピック前後に急ピッチで造られた関係上、それが今一斉に寿命を迎えている。首都高、上下水道なんかはその典型で、ここにも公費が不可欠だ。

 加えて近年は総合病院の経営が悪化しており、閉院が相次いでいる。佐世保の杏林病院は閉院したし、室蘭総合病院も2027年に閉院が決定している。地域医療だけでなく高度医療をも担う大学病院も、不採算整理から閉院を決定している。産業医科大学若松病院、久留米大学医学部医療センターなんかがそうだ。この流れを阻止するのにも公費が使われるだろう。

 一部の人は政治家の給与や裏金、政党助成金、官僚の予算配分、富裕層の報酬など、叩きやすいところばかりに目がいっているが、それは決して本丸ではない。むしろ予算に関しては市民生活に直結するところに多くのお金がかかっており、特に最下層に位置している人ほど依存度が高い関係で経費が高い。

 そこに着目しないと、いつまで経っても見当違いの施策をするだけだ。




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