2023年4月28日金曜日

多くが知らない差別の構造

  近年になってブラック・ライブズ・マターやLGBTQ運動など、差別が取りざたされるようになりました。そうなると、差別が良いか悪いかという話に行きがちですが、ここでは趣向を変えて、そのメカニズムについて分析したいと思います。

差別は一人では起きない

 まず前提条件を見ていきましょう。差別をしたとされる側と差別を受けたと訴える側の間で起こります。一人しかいない空間で暴言を吐いたとしても、訴えられることはありません。反対に自分一人しかいない空間で被害を受けるというのは有り得ないので、差別が発生しません。よって、相手と自分、二人(もしくはグループ)が、前提条件になります。

 となると、よく巷では差別をしたのか否かという一つの軸で語られがちですが、差別をしたとされる側と差別を受けたと訴える側二つの軸が存在するのがわかります。言い換えると、行為の良し悪しの軸と差別されたと捉えるかどうかの軸です。

差別における4タイプ

 言葉で説明してもわかりにくいと思いますので、図にしてみました。


 横軸が行為の良し悪し、縦が被害者意識です。行為者が別々なことから基準も異なるので、軸も別々になります。では、一つ一つ見ていきましょう。

A:良識的行為をしていて、被害意識もない

 これは周りが見ても行為が良識的の範疇にあると判断でき、差別を受けたとの訴えが無いケースです。お互いに実害が無く、特に問題がないと言える状態です。被害を与えていないのに、行為者が差別的なことをしてしまったのではと不安になっているケースも、こちらに入ります。

B:差別的行為の疑いがあるが、相手が認識していない

 こちらは、実際に差別的な行為があったにもかかわらず、受け手が気づいていないケースです。相手が寛容過ぎる場合と、鈍感だったりだまされていたりしている場合が、考えられます。

C:差別的行為が判明していて、被害を認識している

 Cは一番わかりやすいケースです。実際に差別的行為が確認されており、それを受け手が認知している状態です。

D:良識的範囲の行為だが、被害を訴えられている

 これが最も複雑なケースではないでしょうか。客観的に見て行為が良識的であるにもかかわらず、被害を受けたと訴えているケースです。


 本来差別されたかどうかは、行為があったかどうかで判断するものなので、上の図の横軸を基準とするのが妥当です。よって、BCが処分の対象となります。

 にもかかわらず、日本の国民性なのか論理的思考が苦手なのか、事実確認をするべきところで被害者の気持ちを勘案してしまい、判断基準が縦軸になるケースが多々見受けられます。これだと、B認知されていない差別を見逃す一方、D言いがかりや冤罪も引き起こしております。

対策は?

 Bのケースは、周りの人がよく観察し見つけてあげて、被害者に教えてあげることが必要です。そのためにも本人は、普段から周囲の人と良好な関係を築き、信頼関係を作っておくことが大切です。特に、虎の威を借りる狐ではないですが、より地位や権威の高い人を味方につけておくと、その権限や威光で処分を下すこともできるので有効です。

 問題はDのケースです。単に世の中の仕組みがわかっていないのなら教えてあげればいいのですが、事実無根の訴えをしてくる時点で思い込みが激しいのがわかるので、恐らく聞き入れない可能性が高いです。

Dのタイプの問題点

 そもそもこのタイプは白黒思考や二極思考を持っており、自分は絶対正しいという考えから他人の事情を考慮せず、自分の片寄った価値観だけで相手を非難する傾向にあります。この特性から、たくさんある可能性の中の一つに過ぎないことでも、他を考慮することなく「これだ!」と思い込んで決めつけてきます。かなりパターン化された判断しかできないので、グレーゾーンやケースバイケースで対応やニュアンスが変わるというのがわからないのです。

 さらに他者に完璧を押し付け、少しでも違うと激昂したり被害者ポジションに入ったりと、対人トラブルが絶えません。本人には自覚がありませんが、思考の分野に関してはかなり自閉的で主観的にしか物事を捉えられず、何でも他人のせいにするので、周りに対して不安感や不信感が強く、他人を疑う癖が付いていて口論になりがちです。つまり、客観的に物事を捉えたり、自分を見つめ落ち度を認めるだけの人間力が無いのです。

 そのくせ、自分の心の穴を埋めるために積極的に人とかかわろうとする人も中にはいるため、余計にトラブルの回数が増え、より自信や自己肯定感を下げるという悪循環に陥るケースも見られます。実際は一人でいると自分の嫌な部分、汚い部分を見つめる時間ができてしまうので、そこから逃れるために人とかかわろうとしている可能性も考えられます。

 とにかく、よく心理や自己啓発の場で、このタイプから離れましょうと言われます。それが一番無難で確実な対処法ですが、本当のところその人をたらい回しにしているだけで、根本的解決にはなっていません。真に必要な対策は、精神科へ連れて行って時間をかけて認知の歪みを取り除いていくことだと思います。まあ、かなり難しいですが・・・

2023年4月26日水曜日

今まで告知してませんでしたが、LGBTERにて紹介してもらいました。

 実は今まで全く告知してませんでしたが、LGBTQの当事者を数多く紹介しているLGBTERの取材を受け、記事にしてもらいました。これまでの生い立ちや、現在のスタンスなどをいろいろ話させてもらいまして、LGBTQに対しての胸中も語りました。

 まあ、伝聞を人間が文字に起こすので、ライターさんのニュアンスが入ってしまい、ちょいちょいそうじゃないんだけどなという部分もあるのですが(例えば山梨県生まれとなっているが、本当は東京都生まれ山梨県育ち)、こんな感じで楽しみを見つけながら趣味に興じる人生を送る当事者もいるんだという一例になればと思っております。

 正直LGBTERの出演者の中には社会運動をしている方もいまして、バイタリティーあるなぁとは思うものの、そういう活動ってどこか浮世離れというか一般的な生活からはかけ離れているので、平凡な暮らしを望んでいる人から見たら、特殊な人と映るでしょう。

 かく言う私も趣味人となってその日暮らしをしているので特殊と言えば特殊ですが、LGBTQであってもいくらでも好きなことを見つけられ、気ままに生きられるというのがわかっていただけたら、これ幸いかなぁと思います。

私の記事はこちら
https://lgbter.jp/lgbter/akari-yoshida/


LGBTER
https://lgbter.jp/


2023年4月20日木曜日

多くの人は単語を読めても、文章になるとわからない?

 インターネットが普及し、見ず知らずの人とコミュニケーションするようになった昨今、10年20年前よりも単純に文章に触れる機会が増えたと思います。特にSNSによる拡散で、意図せず他人の発言を目にするようになって、その頻度は格段に上がりました。誰でも自由にアクセスできるパブリックなサイトで発言でき、それを自動的に不特定多数の端末に表示される。そんな世の中が、日常になりました。

 しかし、この誰でも書ける、誰でも見れるというシステムが、今まであまり明るみに出なかったある問題を露わにしたと思います。それが・・・

「国語力」

 ひと昔前なら、何か文章を書くとなると新聞、書籍、雑誌などの媒体に限られていました。当然ここに寄稿できるのはプロの人だけで、それなりに学識やキャリアを持っている人でした(マスコミはどうなんだという話は、ここでは置いておく)。その分野に精通した人が、それに応じたリテラシーや教養の元に文章を書くので、それなりに国語力のあるものが提供されていました。

 そして、こういった媒体は自ら手にし購入しないと読めないので、読者もその分野に一定のリテラシーや教養がある層に限られ、お互いの国語力にバラつきが少なかったと思います。

 それが現代になって、無名の一般人までもが書き込めるようになり、自らの国語力が丸裸になる時代がやってきました。ボキャブラリーの多少、文法の理解、長い文章を読む忍耐力、未知の単語を調べる意欲、文章全体の要約と抽象化、論理展開の方法などなど、文章を読むのも書くのもこれらの能力が必要になってきますが(これ以外にもいくらでもあるが)、そういったものがやり取りする上でオープンになってしまったのです。

 さらに、人間は自尊心を守ろうとする働きから、自分の能力を高く見積もる性質があるため、自分の不出来の部分に気付かないという心理効果も働きます。

 そこで今回は、SNS時代になって問われるようになった「国語力」とその仕組みについて、論じていきます。


SNSほど難易度の高いツールはない

 私はTwitterなんかを普段利用していますが、「最近、京都へ行ってきましたー!」とか言って、短文を添えて写真をひょいっと上げるなんてこともします。もちろん、生活の一部分をカットして気軽に見せるには丁度良いツールです。

 しかし、これが一旦イデオロギーや政治の話となるとどうでしょうか?全角140文字で収まるかというと、まず無理でしょう。この文字数で収めるとなると、かなり要約しなければならないし、抽象化した文章にならざるを得ません。とてもではありませんが、具体的な事例まで上げていたら文字数が足らないのは明白です。つまり、表現できる範囲に限りがあるのです。

 ということは、読み手にもその少ない文字数でどれだけ読み取れるかが問われます。特に抽象化した書き方をされた文章の場合、これが現実の世界でどう反映されるのかシミュレーションしながら読まなくてはならないし、要約されている場合はその要因が何なのかというのを推理しながら読まなくてはなりません。それを読み解くには、単語と文法がわかっていないといけないし、それを合体させるとどういう意味になるのかという論理的推察力が必要になってきます。

 なので、多くの人は140という文字数の少なさだけで簡単と判断しますが、それは手数が少ないだけで、国語力という点で見たらかなり難易度の高いスキルが求められることがわかります。


人間は自分のこととなると客観視できない

 ここ近年、脳の発達や学習到達度などの差によって、IQ以外の思考力にも能力のバラつきがあることがわかってきました。当然、平均以上の能力を持っている人もいれば、それ以下の人もいるわけです。統計学的に考えれば、その人数の比率はほぼ半々になります。

 しかし、面白いことに自分は平均よりも能力が高いかを問うアンケートを取ると、半数以上の人が高いと答えます。さらに面白い実験があります。ダニング博士とクルーガー博士の有名な共同研究です。一定数の生徒にテストを受けさせ、成績が平均以上のグループと平均以下のグループに分けます。テストの結果を知らせないまま生徒一人一人に、手ごたえや自分の点数の予想を尋ねました。

 すると、上位のグループは思ったより難しかった、もしくは並ではないかと答え、自分の点数を低く見積もる生徒が多く、反対に下位の生徒は思ったよりできたと答え、実際よりも点数を高く見積もる傾向があることがわかったのです。

 このことから人間は自分を客観視できず、能力の低い者ほど自分を過剰に評価することがわかりました。つまり人間は、自分の能力が足りていない部分に自分で気づけないのです。これを両博士の名前を取って、ダニング・クルーガー効果と言います。


国語力の差から生じる弊害

 そしてこれが国語力に表れて、その状態でSNSを利用したらどうなるでしょう。国語力のある人の話にない人が無自覚のまま、もっと言うと国語力があると過信して入り込むので、情報伝達の方法や理解度に大きな差が生じ、その差が埋まらぬまま話が進行することになります。

 せっかく正しい語句を用いて理路整然と説明しても、聞き手がその語句を知らなかったり、間違った文法で読んでいたら、それは本当の意味を理解できません。特に単語に関しては置き換えることも可能な場合もありますが、文法が間違っていたり、面倒くさがってところどころすっ飛ばして読んだり、はたまた認知バイアスにかかっていて曲解されたら、話し手のほうでは手の施しようがありません。

 これが昨今SNSで起こっていることなのです。

 実際にこの国語力の違いによって、SNSに限らず様々なところで影響が出ています。例えば、ここ最近のメディアやタレントが何か発言する際に曲解する人がいるので、いちいち断りを言うようになって本題に水を差す機会が増えたり、ネットで医学的な話をしているにもかかわらず、そこに人権の話と思い込んで場を荒らしたりというケースは、私以外にも見たことある人は多いのではないでしょうか。


国語力の低さは自分は気づかなくても、相手にはバレる

 しかし、先ほども言った通りダニング・クルーガー効果が働くので、国語力がない人でもできていると思い込んでいます。なので国語力は自分ではわからないし、国語力がない人同士であれば気づかれないでしょう。

 しかし、相手が国語力の高い人物であった場合はそうはいきません。なにせ、自分よりもリテラシーが高い分、正解を知っているわけですから、間違いに気づいてしまいます。ここを反対の意味で捉えたなとか、ここの論理が成り立っていないなとか言って判明してしまうのです。さらに、それを素直に認めず押し通そうものなら、意図的であると捉えられ悪意があると判断されてしまいます。これは、自分にとって大きなマイナスです。

 なので、如何に早く自分の国語力に気づき、修正できるかがカギとなります。


国語力とは何か

 では、国語力とはなんぞやという話になりますが、この言葉自体が抽象的であるため、一つの要素を指すものではありません。思いつくところを列挙してみると、

 語彙(意味まで知っている単語の数)、文法(自己流ではない、正しい単語の使い方)、概念、読解力、抽象化、具体化、論理的思考、推察力(決めつけではない)、予備知識・・・

 といろいろあります。一個一個説明すると、

 語彙:語彙とは一つの言語における、言葉数の総量のことです。意味まで知っている単語をどれだけ多く持っているかを表します。

 文法:単語の組み合わせ方です。ここを間違うと、肯定文か、否定文か、疑問文か、過去形かなどがわからなくなり、意味を取り違えます。

 概念:一つの分野において共通する普遍的な要素のこと。辞書の表現を使うと難しく感じますが、自然科学を例を挙げると、この世の自然現象は神や未知なるものが起こしたものではく、ちゃんと物理的な理由があるはずだという前提条件の部分が、概念にあたります。

 読解力:語彙、文法、概念などを踏まえて、部分ではなく「全体」として何を言わんとしているか読み解く能力。

 抽象化:抽象化とは、個々の物事の共通する部分を抜き出して、一つの概念とすること。例えば、猫と犬がいて、生き物としては別だけれど、動物という点で共通しているから一括りで捉えるのがそうです。

 具体化:抽象化の反対で、実際の事例に当てはめたり、実例を出したりすることです。先ほどの猫と犬の例を挙げたのは、典型的な具体化です。

 論理的思考:自身の感情や願望などの主観を排除し、自然科学、統計、実験など、不変で客観的なものから得られた法則や傾向を基に考えること。

 推察力:与えられた情報や条件から、論理的に結論を導く力。

 予備知識:その分野を語る上で、事前に知っておく必要がる知識。

というのが、それぞれの意味です。

 これらをその時々で組み合わせて文章を作ったり、読んだりしているのですが、当然人間のことなのでここにも個人差があるのです。知らない単語があったり、間違って意味を覚えていたり、文法を間違っていたり、具体的な事例に当てはめられなかったりなど、どれか一つでもできない部分があると、言いたいこととは違った文脈になってしまったり、間違った解釈をしてしまったりすることにつながります。

 ゆえに、書き手も読み手もある程度の高い総合力が必要になります。特にどちらか一方が高いリテラシーを持っている場合は、尚更でしょう。


そもそも国語力の差はどこから来るのか

 このように国語力には複数の要素が絡んでいて、その能力には個人差があり、その差によって多くのトラブルを招くことを話してきました。では、そもそも国語力の差はどこから来るのでしょうか?

読書量
 これを原因と挙げる方は多いかと思います。もちろんこの読書量の差は、大なり小なり国語力の差に影響していると私も思います。読書量が少なければ、他人の言葉に触れる機会が少なくなるので語彙が増えないですし、相手が何を言わんとしているかを読み取る機会も少ないですから、相手目線で考える回数も少なく、客観視を身に着けるトレーニングになりません。

 さらに読書となると膨大な数の文字をひたすら見続けなくてはならないため、長い文章を読み続ける忍耐力が必要になります。読書に慣れていないと、ネットで長い文章を目にした時に抵抗感を感じ、中飛ばししたり、流し読みしたりして、意味が理解できなくなってしまいます。

話し言葉の多用
 現代のことですから、ネットスラングを用いたり、若者言葉を用いたりすることは多いと思います。ただ、現代の傾向として全く異なるシチュエーションであったとしても、同じ単語を用いるケースが多々あります。

 たとえば、「やばい」という言葉がそうです。元々は任侠の世界の言葉でしたが、やがて一般化し一般大衆も使うようになりました。その頃は、危険、危機的といった身の安全が脅かされる状況のみを指していましたが、今では凄い、美味しい、感動など場面関係なく使う人が増えました。そうなると他の単語を覚える必要がなくなるので、必然的に語彙が貧困になり、知らない単語が出てきた際に意味がわからなくなります。

 さらに興味深い研究があって、同じ単語を多用する人と語彙が豊富な人を比べた実験で、語彙が豊富な人は知能が高く、同じ単語を多用する人は知能が低いという結果が出ました。語彙の量と知能に相関性があるのです。そして知能は、論理的思考、抽象化、推察力に影響することが脳科学で考えられているので、国語力に関わってきます。

自己流の解釈
 一般的なパターンとは異なり、独自の解釈をする人もいます。普通はそう受け取らないのに、この人は何でそう取るの?と思ったことは無いですか。そういう特異な解釈をする人が、まれにいます。

 このタイプは、一つ一つの言葉に対して、自分独自のレッテルを貼っています。障害者=弱者、平等=万能、格差=差別のように、言葉に対して勝手なイメージを持っていて、その勝手なイメージの方で文章を読もうとします。なので、正しく読解できるはずもありません。これは認知の歪みから来るのですが、この歪みの背後には生育環境が影響しているケースが少なくなく、問題を深刻化させます。

 さらにこのタイプは、特定の単語が入っているだけで過剰反応する人もいるため、文脈関係なくヒステリーを起こす場合があります。加えて厄介なのが、メンツを守ろうとするので、自分から引き下がったり、罪を認めたりしません。

脳の成長
 言語を司るのは脳なので、ここ成長が無関係というのは考えられないでしょう。実際、脳の成長は発語のスピードにも影響することがわかっています。そして脳の一部である海馬は記憶力を司り、前頭葉は理性と論理と思考を司っていることがわかっているので、国語力に影響することがわかるでしょう。

言葉に対する認識
 これは私見ではありますが、国語力がない人に言葉を感覚的なものと捉えている人が多いように見受けられます。そもそも言葉とは音声や文字を組み合わせたものです。あらかじめその意味や文法を申し合わせておき、そのパターンによって全体の意味を形成します。つまり、暗号となんらやっていることは変わらないのです。

 多くの人は暗号を感覚的なものとは考えず、一定のルールによって決められたものと認識しています。しかし、言語となるとそう考えないのは矛盾しています。実際、外国語も言語ですが、感覚的に話すでしょうか?恐らく多くの人は外国語となると文法を気にすると思います。

 国語力のある人は母国語であっても、感覚的には捉えません。自分と相手では感覚に差があることを熟知しているし、お互いの国語力を過信しないので、誤解の生じる言い回しを避けます。思いつきで言葉を口にするということは、危ういのでしないのです。

文章を読む際の癖
 多くの人は自覚がないでしょうが、文章を読む際に単語を一つ一つ拾うようにして読む人がいます。例えば、「今は冬ではないので、雪が降らない」という文章があるとしましょう。単語を拾う人というのは、「今○冬○○な○ので、雪○降らない」みたいな読み方をする人です。これだと、今が冬で、しかも冬なのに雪が降らないという意味になってしまい、相手の言いたかったこととは異なってしまいます。

 嘘だろと思う方もいるかもしれませんが、意外にもいて、早とちりしがちな人に多いように思います。

 さらに、この傾向は発達障害を持っている人にも見られるとの話もあります。シングルフォーカスの傾向があることから、一点集中した読み方になりやすく、断片的にしか文章を読めないのだそうです。

ディスレクシア
 聞きなれない言葉かと思いますが、文字の読み書きが生まれつきできない、もしくは苦手とする障害です。ハリウッド俳優のトム・クルーズがこの障害を持っていることで知られています。

 この障害が重く、全く読み書きができない場合はSNSを利用しようがないので、反って問題にはならないと思いますが、軽度の場合だと症状が弱く自覚できていない可能性があるため、遭遇する可能性が出てきます。

 ただセンシティブな上、医師でないと判断できないため、中々どう接していいか戸惑うところです。


どちらに合わせるのか問題

 さてここで、一つの問題が生じます。それは、どちらのレベルに国語力を合わせるのかという問題です。レベルの高い人は能力があるのだから低い方に合わせるべきだと、国語力が低い人は言います。確かにレベルを合わせることだけを考えたら、その結論は妥当です。でも、果たしてそれでいいのでしょうか?

 答えはノーです。なぜかと言うと、一つは語彙が少ないと表現できないものが出てきてしまうからです。日常生活ならまだしも、仕事や学問、趣味など専門性が高い分野においては、膨大な情報が日々やり取りされています。その中には正確性が問われたり、細やかなニュアンスが尊ばれるものも存在します。これらのことを説明したり表現したりする際に、否が応でも国語力が必要になります。

 例えば、仕事上用語を多く知っていたほうが余計な説明を省けて、もっと中身の濃い話をたくさんできますし、文学の世界でも「水に浮かぶ桜の花」と言うよりは、「花筏(はないかだ)」と言ったほうが、比喩表現になり風情を感じます。

 二つ目は社会全体の読解力の低下を招き、つたない表現しかできなくなるからです。そうなっては言語自体が陳腐なものになってしまい、表現できることがどんどん減ってしまいます。そうなると、コミュニケーションにも障害が発生し、意思疎通が困難になってしまいます。

 三つ目は学力の低下を招くから。国語力が低いと教科書を読み、理解することもできなくります。そして、どんな教科も文章で説明されている以上、国語は全ての教科で必要になります。

 数学の場合も例外ではなく、計算ドリルなら国語は必要ありませんが、文章題や証明問題も主題されるので、その際に出題者は何を問うているのかがまずわからないと解けません。社会の場合も事件のきっかけ、経過、影響が読解できないと解けないですし、人生の教訓とすることもできません。

 なので、低い方に合わせるのは妥当ではないのです。もちろん、先端医学や電子工学などあまりに専門過ぎる内容はほとんどの人がわからないので、そういったものはレベルを落としてくれないとわかりませんが。


国語力をアップさせるには

 では国語力をアップさせるには、何をしたらいいのでしょうか。今まで書いてきた内容にも少しありますが、ここに列挙していきます。まずは、

読書
 これは誰もが言います。やはり読書量が多い人は語彙も知識も豊富なので、否が応でも国語力も身につきます。特に出版物は推敲や編集、校正を行うので、正しい言葉の使い方に直してあります。本来の言葉の意味を知ることができますし、正しい文法を目にする機会にもなります。

 さらに長い文章を見慣れることで、活字に対する抵抗感を減らすことができ、じっくり読めるようになります。

本の要約を人に話す
せっかく読書をしても、独自の解釈をしていたら国語力がアップしません。合っているかどうか確かめるために、本の要約を人に話してチェックすることを精神科医の樺沢紫苑先生はお勧めしています。間違った解釈のままだったら、本の内容とは異なる知識になってしまうので、有効なものになりません。

 例えばトレーニングで間違った方法を行ってしまい筋肉がつかないとか、設問を正しく読解できなくて誤答してしまうとかが起こりえます。

 さらに自己流の文法だと相手に伝わりません。ここで間違いを指摘してもらうことで修正でき、自分の言いたいことが伝わるようになります。

語彙を増やす
語彙が増えることによって、理解できる量と幅と深さが生まれます。どうしてもその言葉でないと説明できないこともあるので、知らないと伝えられないし、理解もできません。そのためにはどれだけ多くの言葉を知り、意味まで理解できているかが重要になります。そのため普段から多くの語彙を用いて書いたり、話したりすることが、トレーニングになります。

友達を変える
友達から受ける影響は少なくないです。教養のない人が周りに多いとそれが当たり前になるので、自己変革につながりません。裏切るわけではありませんが、次第にリテラシーの高い人へシフトすると環境を変えることができ、そのコミュニティが自分にとってのベーシックになるので、必然的にスキルアップになります。

カウンセラーを利用する
認知の歪みからくる場合は自分では気づけないです。例え気づいたとしても、自助努力で改善するには根深く、困難です。こういう時は、プロの力を借りるのが賢明です。心理カウンセラーはその道のプロなので、自分でやるよりも改善する可能性は高いです。

 ただし、過去のトラウマや親子関係を振り返る場合もあるため、一時心理的な痛みを感じることがあり、覚悟する必要があります。

感覚で捉えるのを止める
言葉はお互いの単語の意味と文法がそろって、初めて通じます。感覚と捉えると独自の解釈、独自の用法になり、齟齬(そご:解釈の開きのこと)が生まれます。まずはしっかりと基礎を身につけないと始まりません。


 いかがだったでしょうか?なかなか複雑で難易度高いと思った方も、いるかもしれません。もちろんすぐに身につく能力ではないので、じっくりやっていくことが肝要です。でも、国語力がつくとわかることが増えますし、今まで伝わらなかった自分の思いが上手く伝えられるようになるので、メリットは大きいです。ぜひとも取り組みましょう。


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2023年4月18日火曜日

SRSで得られる物、得られない物、再整理

 多くの人は様々なシーンで、そんなこと言われなくてもわかっていると口にしますが、でも本当に腑に落ちるまでわかっている人って少ないのではないでしょうか。実際これには個人差があり、骨の髄まで理解している段階のものもあれば、頭ではわかっているけどというものまであると思います。今回はその状態をはっきりさせることと思います。

 さて、SRS(性別適合手術)は性別変更をする手段として、認知が広がってきました。とはいえ、SRSは万能薬ではないのは頭ではわかっていると思います。しかし、何かお墨付きを得られる気がするため、期待をしてしまうこともあるかと思います。そのもやもやが晴れるかわかりませんが、要点をまとめます。


SRSをすることの意味

性器に対する違和感を軽減させる
 一番大きな意味合いは、これだろうなと思います。物理的になくしてしまい、いつ何時も見なくて済むようになるから、そして実際に無くしたという事実があるからです。

近似した外性器を得られる
 MTFの場合、作られないこともありますが、形成されると異性の生活スタイル(性生活と排尿)に変わります。それと、異性の形状になることでより満足感を得る人もいるでしょう。

書類上の性別を変更できる
 今現在、日本ではSRSが戸籍の性別変更において必須条件となっております。なので、戸籍に準拠する住民票、各種契約、登記、登録等の性別も変更できるようになります。

一区切りつけられる
 新たな体に作り替わることで、一区切りつけられます。これにより、心機一転新たな人生をスタートさせるきっかけにはなります。


SRSをしても変わるとは限らないこと
 反対に変化しない、もしくは変化が期待できないものもあります。

周りからの認識
 周囲の人々からの扱いが変わるかどうかは相手の認識次第になるので、その人次第です。そもそも下半身を見せるわけにもいかないですし、人間の認識は、容姿、声色、生い立ち、深層心理、人格など、双方の複数の要素が複雑に絡んで形成されています。性格的に単純には割り切れない人もいるので、SRSをしたからといってそう簡単に相手の認識を変わるわけではありません。

自信・自己肯定感
 一区切りつけられることで自信・自己肯定感がつく人もいますが、当人次第なのでSRSしたからといって必ずそうなるとは限りません。むしろ、慢性的な不安症に陥ってしまい、精神を患ってしまう人も一定数います。実際術後病んでしまい、自殺にまで至ってしまうケースもあります。

外見
 生殖腺の除去でホルモンバランスの変化があり、それが後々外見に影響するかというと少々あるかもしれませんが、ほぼないに等しいというのが大方の実感ではないでしょうか。むしろ、それまで投与してきたホルモン剤の影響の方が大きいし、しかも個人差も大きいので、あまり期待した通りにならないケースも散見されます。

未来
 手術が未来を作ってくれるわけではないので、この点の保証はありません。しかもSRSを人生のゴールと位置づけてしまうと、達成した時に他にやりたいことが無くなってしまって燃え尽き症候群に陥ってしまい、無気力になったり、うつ病を発症したりするので、人生の通過点と考えるほうがベターだと思います。

生物学的な性別
 染色体まで変えることができないため、こればかりはどうにもなりません。なので、性自認と染色体が異なるのが許せないという人は、SRSを受けても納得できない可能性が高いです。実際、これが元で精神疾患を発症したり、悪化させたりした人もいるそうで、どこかで折り合いをつけないと精神の安定を保てないと思います。

脳および脳機能
 脳を手術するわけではないので、当然変わりません。なので、自分に備わった習性や本能はそのままです。

アイデンティティ
 流動的で未確定のアイデンティティを確立させるべく手術に踏み切る人も中にはいるようです。しかし、アイデンティティは脳内で形成されるものなので、SRSをしたからといって明確になるわけではありません。手術をしたものの、後になって私はトランスジェンダーや性同一性障害ではないと気づき、後戻りできなくなってしまった、もしくは再度SRSを受ける例も一定数あります。
 ただ、再手術をしたとしても完全には元の体には戻すことはできませんし、一生不妊でありホルモン投与も続けなければならないのは変わらないため、コスト面、身体的負担でもリスクが大きいです。


まとめ
 SRSを目標に頑張っている人も多いと思いますが、中には悲劇的な結果になってしまった人もいるのがこの手術の怖いところです。昔から後悔先に立たずとは言うものの、将来を予測できる人はいないので中々判断が難しいところです。

 自分で判断することなので自己責任と言えば自己責任ですが、もし何かあった時に周りの人は何もしなかったのかなとも思ってしまいます。なので、一人で判断せず、家族や友人、職場の同僚など、誰かメンターを作って相談するのがいいのではと思います。


国内SRSの手順と対応クリニック(準備編)
https://akachinmoney.blogspot.com/2023/03/srs.html


国内SRS直前の流れと用意するもの(入院前編)
https://akachinmoney.blogspot.com/2023/03/srs_31.html


国内SRSの話(執刀医編)
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国内SRSの話(術式編)
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国内SRSの話(入院中編)
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国内とタイのSRSメリット・デメリット(MTF)
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SRSは万能薬ではない
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歩き方に出る男女の違い
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2023年4月8日土曜日

自らチャレンジも努力もしないで手に入れられるものはない

 若い頃は特にそうでしょうが、多くの人が望みや憧れを持っていると思います。スポーツ選手になりたいとか、一軒家に住みたいとか、海外で仕事がしたいとか、人の数の分だけあるかと思います。しかし、それを本当に叶えた人はどれだけいるでしょうか。恐らくほとんどの人は、絵に描いた餅で終わらせているのではないでしょうか。

 ではなぜ多くの人は、叶えずに終わるのでしょうか。そして叶えた人は、何が違うのでしょうか。


叶えないことのうま味

子供の頃は多くの夢を描いていた
 小学生の頃、プロサッカー選手になって数億円という多額の年俸をもらい、高級マンションに住み、高級車を乗り回すなんてことを思い描いていた人は少なくないでしょう。他にも、ミュージシャンになって有名人になり、多くの人から注目を浴びる存在になりたいなんて思っていた人も。

 かくいう私も、若い頃はいろいろな夢や目標を思い描いていました。模試で1位を取るとか、絵画コンクールで受賞するとか、好きな職業に就くとか、性別を変えるとか、マンションを買うとか・・・。今思うと、なんと欲深い(苦笑)。

 そう、若かりし頃は誰しもいろいろな夢を持っていたものです。でも私は、ここに書かれたことを皆叶えました。

大抵の人は、スタート地点に立とうともしない
 他人が夢を叶えたのを見て、多くの人は運が良かったからだとか、才能があるからだと言います。それは果たして本当でしょうか。先ほど例に出した絵画コンクールで見ていきます。

 これは絵の世界ですから、特に才能がないと受賞できないと言われがちです。ただよく考えてみてください。その才能という言葉を口にした人は、コンクールに応募したのでしょうか。いいえ、していません。才能があろうがなかろうが、応募しない限りは受賞できません。

 実際、私は夏休み冬休みに学校から配られた絵画コンクールの一覧表にあったものへ応募しただけです。学校で配ったものですから、当然クラスメイトもそのプリントは手にしています。しかし応募したのは私くらいなもので、ほとんどの子は絵を描くことすらしていません。そう、才能うんぬん以前に参加すらしていないのです。これでは受賞できないのも当然ですし、競争相手が極端に少ないのですから受賞できる可能性も高まります。

 タレントになりたいと思っていた人もいるでしょうが、芸能事務所へ応募したかと言えばほとんどの人はしていないでしょう。結局ほとんどの人はできなかったのではなく、チャレンジすらしていないのです。

チャレンジしなければリスクを負わなくて済む
 何かを叶えようと思ったら、チャレンジするしかないし、そのためにはスタート地点に立たなければ仕様がありません。でも多くの人は、それをしません。なぜでしょう。それば、失敗や恥などのリスクを恐れるからです。

 失敗をしたり恥をかいたりすれば、心が傷つきます。人間にとってこれほどのリスクはありません。特に日本人はセロトニントランスポータの分泌量が遺伝的に少なく、楽観的になれず不安感が高まりやすいことがわかっています。そのためストレス耐性が低く、傷つくことを恐れ、消極的になりやすいのです。

 さらにチャレンジするとなると、それなりに苦労はつきものとなります。基本的に人間は脳疲労が溜まるのを防ぐために、怠ける習性を持っています。チャレンジしなければそのリスクを回避できるので、やらない選択をしがちになるのです。

努力の差
 ただ、スポーツや勉強の分野となると結構やっていたという人は多いものです。スポーツだと部活やユースチームなどがあり、所属していたなんて話はよく聞く話です。勉強に至っては学校でやりますし、学習塾へ行くのも珍しくないので、やっていなかった人を探す方が難しいでしょう。では、なぜそれでも差がつくのでしょうか。それは、努力の差があるからです。

 これを聞いて多くの人は「俺だって努力したんだ」というでしょう。ここに盲点があります。それは努力したしないの他に、どれだけ努力したかという分量の問題があるのです。

 考えてみてください。プロスポーツ選手が学生の頃、みんなと同じ練習メニューだけしていて果たしてプロになれたでしょうか。東大理Ⅲに合格した人が果たしてみんなと同じ勉強してたでしょうか。答えは、いいえです。

 なら同じだけ努力をすればいいのですが、多くの人はやりません。なぜでしょう。それは多く場合、続かないからです。継続は力なりという言葉がありますが、人よりも続ければその分実力が伸びます。しかし、人間は先の見えない努力に萎えてしまうので、長続きしないのです。

安易な手段に走る愚
 さらに人間は物臭な一面もあるので、面倒なことを嫌い手抜きをしてしまいがちです。野球で言えば、素振りの回数を減らしたり、全力で投球しなかったり。これでは、いくらチームに所属していても大会に出場すらさせてもらえないでしょう。

 仮に手抜きをして手に入れたとしても、得られる物は少ないし、自信など持てないし、賞賛に値しません。努力しないで手に入れたものは記憶に残りずらいということもわかっているので、すぐに忘れてしまいます。

 それに努力する人と手抜きをする人ではどちらが応援されるかといったら、間違いなく努力する人です。安易な行いは一時的な楽を手に入れているだけで、本来欲しかったものも人も手に入らなくなるのです。


根本的な問題

自分の人生は自分で作り、責任を負う意識の有無
 こういうチャレンジに一歩踏み出せない人に特徴的なのは、逃避癖があることです。なぜ逃げるのか。労力をかけたくないのと、責任をとりたくないから。

 そもそも自分の人生は自分にしか歩めないから、自分で行動するしかありません。周りの人は自分の手足ではないので思い通りには動いてくれないし、その人にはその人の人生があるのです。物事を成し遂げる人は相手の人生を尊重するので最初から当てにはせず、逃げずにまずは自分でやってみます。自分でやらないと欲しい未来が手に入らないことを、ちゃんとわかっているのです。

 しかし、それは同時に自分の労力を消費することも意味します。さらに自分で行動するということは、その責任を自分で負うということになります。これはリスキーなことであり、多くの人はそこから逃げてしまいます。辛い思いをするくらいなら、叶わなくても楽なほうがまだ安心を得られるからです。

 つまり、自分の人生は自分で作り責任を負う意識の有無が、未来を分けています。

依存的な関係
 まだチャレンジできない人には共通の傾向があります。それは、依存的な人間関係です。自分の人生を自分で作らない、でも生きているからには人生を作らないといけません。となれば必然的に、自分以外の誰かに作ってもらわなくてはなりません。これは常に依存する相手を求めているということです。

 こういった人のそばには、大抵それを許してしまう人達がいます。何でもやってあげることが優しさだと勘違いしているので、相手の求めに応じてやってあげてしまい、自分でやる機会が奪われ、いつまで経っても自分で生きる力が身につきません。結果自信もつかないから、余計に一歩が踏み出せなくなります。

 さらに問題なのは、この依存相手も依存しているというところです。そう、共依存なのです。お互いに依存し合っているため、いつまでも自立できません。しかも周りが依存関係ばかりなので、それが異常だと気づかなどころか当たり前だと思っていて、自立を促す真に自分のためになる人を冷遇してしまいます。そして仮にその内の一人が自立してコミュニティから抜け出そうものなら、裏切り者呼ばわりして全力で足を引っ張ってきます。

恥と完璧主義
 上記のことから自ら行動することがないため、失敗をした経験もありません。多くの人は失敗を経験しても生き続けているので、もし失敗しても立ち直れると思いから、スタートできます。しかしチャレンジできない人はそもそも失敗の経験すらないので、立ち直れる確証がなく、恥をかくことしかわかりません。結果、二の足を踏んでしまいます。

 こういう人が何か始めようとすると、恥を恐れるためにネガティブな要素をなくそうとします。そこで陥るのが、完璧主義です。失敗したくないために、失敗しないような体制を作ろうとします。しかし、そんなものこの世の中にあるでしょうか。いいえ、どこにもありませんよね。だから、失敗しそうなことは初めからやらないという選択に至るのです。


抜け出す秘訣は

他人や環境のせいにするのを止める
 天変地異ならともかく、自分の人生は自分の選択の積み重ねでできているので、あくまで自分で作り上げたものです。大なり小なり影響はあるものの、基本的に他人のせいでも、環境のせいでもありません。他人や環境に遭遇した時にとった、自分の選択の結果です。

 それに他人のせいにするということは、他人の人生を生きるということになります。いつも他人の選択に従わなくてはならないので、自分の人生なのに自由に行かず、フラストレーションがたまるのも当然です。そんな人生をあなたは送りたいですか。フラストレーションのない人生を歩みたいなら、周りのせいにするのを止めることです。

交友関係を見直す
 世に言う、友達を選べというものです。これはかなり重要ですが、多くの人が間違えています。特にチャレンジできない人は。

 友達を選ぶというと、多くの人は今自分にとって好きな人や身近な人、楽な人を選びがちです。いつも慰めてくれる人とか、いつも肩代わりしてくれる人とか。しかし、これだといつまでも自分でやる機会が得られないので、経験を積むことも、失敗をリカバリーする術も身に着けることができません。結果、今のぬるま湯の状況から抜け出せませず、自立できないのです。

 大体、そういう友達は一見自分のことを思ってくれているように感じますが、普段から当たり障りのないことを言っているだけで、窮地に陥った時には火の粉を被るのをさけて逃げます。本当に優しい人とは、間違った時にはきちんと叱ってくれて、一番の窮地に陥った時こそ助けてくれる人です。良薬は口に苦しです。
 ただし、ここで注意点があります。今の人間関係から抜け出す際に、いきなり抜けるのはアウトです。周囲の人が嫉妬心からあなたを激しく攻撃してきます。自分が置いてけぼりを食らい、惨めになるのが嫌だからです。なので、少しずつ接触頻度を減らし、気付かれぬようにするのがコツです。

勇気は不要、スモールステップを踏む
 とはいえ、大きな目標に向かっていきなり一歩を踏み出すのは、勇気がいるでしょう。さすがに私も過去に何度も躊躇して、引き換えそうになったことが何度もあります。

 そこでおすすめなのが、スモールステップを踏むことです。最初から大きな目標に挑もうとするから不可能に感じられ怖くなるので、そこに至るまでの段階を細かく分け、小さな一歩にするのです。するとステップが低くなるので、これなら自分でもできそうと思えるようになり、スタートする気になれます。

 さらに人は現状維持バイアスも持っているため、一度歩き始めると動きを止めたくなくなる心理が働きます。なので、最初の歩幅は関係ありません。踏み出せればいいのです。

完璧をあきらめ、妥協を覚える
 先ほども言いましたが、この世の中に完璧なものなどありません。完璧な状態を求めてたらキリがありませんので、永遠にスタートを切れません。つまりスタートするということは、不完全なままでトライするということです。そのためには妥協が欠かせません。ベストではなく、ベターな選択をしましょう。

 もちろんベストではないので、思い通りにならないことも多々あります。ベストを求めてい頃は、一つでも思い通りにならないと、腹を立てていたのではないでしょうか。もしかして、今も腹を立てているかもしれません。でも、完璧でない選択をするようになると、そもそもベストな選択をしてないから、織り込み済みです。なので、腹が立たなくなります。

 さらに完璧を求めていると全てを満たしたくて、逐一周囲へ要求するようになります。なので、怒るわ、要求が多いわで、わがままな人になってしまい、良い人ほどあなたから離れてしまいます。本当にあなたはそれでいいですか。完璧を止めれば、怒りも要求も減るので穏やかになり、人が寄ってきます。

失敗こそ宝
 完璧を目指したとしても、必ず失敗や不利益、理不尽な場面に遭遇します。でも、この経験が大切です。失敗を経験することによって、何かあっても時が過ぎればまた歩みを進められることに気がつきます。

 さらに失敗に対してリカバリーしたなら、その方法を身に着けることができたので、また似たような状況に陥っても冷静に対処できるようになります。そして失敗を経験してリカバリーのバリエーションが増えれば、何があっても対処できるようになり、自信もつき、より上のチャレンジができるようになります。

焦らないこと
 ただ、目標に早くたどり着きたくて、焦る気持ちが芽生えてくるでしょう。でも物事はそんな一朝一夕に身につくものでしょうか。むしろ焦れば焦るほど空回りして、望まない方向へ転がり落ちるのが人生ではないでしょうか。焦ったところで思い通りにはならないし、思い通りにならなくて苛立ち自暴自棄になったら、人間関係が壊れますし自分自身も精神にダメージを受けることになります。

 焦らずにコツコツとやったものは、自分の技としてしっかり使えるものになります。それは生きていく上で、強い武器となります。さらに磨けば、その技を買いたいという人も現れるでしょう。

 焦らずコツコツやるのは一見地味なので、これで合っているのか迷いが生じる時期があるかと思いますが、後々になって焦らずやったほうが信用も得られ、順調にいきやすいというのがわかります。

答えではなく、ヒントをもらう
 人はどうしても面倒なことを遠ざけがちです。チャレンジできない人や努力が続かない人は、なおのことではないでしょうか。なので何か困ったことがあった時に、安易に答えややり方のような結論だけを聞きがちです。

 しかし結論だけを聞いても、何のことだったかわからなくなりますし、その場しのぎにしかならないので、自分の経験やスキルとして身につきません。そしてなぜそれをするのかも無視しているので、その重要さにも気づかず、やることがぞんざいになります。

 なので賢い人は、答えを教えずヒントだけを与えます。すると自分の頭で考え、試行錯誤するので、大きな経験となります。さらに悩んだことで記憶に残りやすくなったり因果関係を理解したりするので、スキルが身につき、似たような事象が起きた時に応用が利きます。

 なのでヒントだけ出されたからといって、相手を意地悪だと思ってはいけません。自分のことを思ってのことだと考えましょう。


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2023年4月7日金曜日

性別移行についてのインデックス

 性別移行するには、様々な段階があります。それを一つのページですべてを書くのは難しいので、いくつかのテーマに分けました。まだ何も知らない方は、順番に見ていくのがいいと思います。ある程度ご存知の方は、気になるところをチェックするのもいいでしょう。


国内SRSの手順と対応クリニック(準備編)
https://akachinmoney.blogspot.com/2023/03/srs.html


国内SRS直前の流れと用意するもの(入院前編)
https://akachinmoney.blogspot.com/2023/03/srs_31.html


国内SRSの話(執刀医編)
https://akachinmoney.blogspot.com/2023/04/srs.html


国内SRSの話(術式編)
https://akachinmoney.blogspot.com/2023/04/srs_2.html


国内SRSの話(入院中編)
https://akachinmoney.blogspot.com/2023/04/srs_3.html


国内とタイのSRSメリット・デメリット(MTF)
https://akachinmoney.blogspot.com/2023/04/srsmtf.html


SRSは万能薬ではない
https://akachinmoney.blogspot.com/2023/04/srs_18.html


歩き方に出る男女の違い
https://akachinmoney.blogspot.com/2023/07/blog-post.html



 ただ私が気になるのは、体験談や個人的な感覚ばかりを参考にしてしまう人が中にはいるということ。体験談も大切ですが、実際に執刀するのは医師なので、患者さんの体感ではわからないことのほうが多いです。念のため、私の手術をして下さったクリニックのリンクも各ページにありますので、ご覧ください。

 なお、このページは多くの方に公開しています。より多くの方に目にしていただきたいので、リンクや宣伝をしていただけると幸いです。


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2023年4月5日水曜日

国内とタイのSRSメリット・デメリット(MTF)

  SRS(性別適合手術)についてSNSなどでいろいろ語っている人がいますが、まず人生で1回しか受けないので、なかなか客観的に比較できる人がいないと思います。実際、そういったサイトもほとんど見かけないですし、増して一覧表になっている物を見かけたことが無いので作りました。

 とはいえ、一言にSRSと言っても数多くの比較対象があるので、いくつかカテゴリーに分けて紹介します。一通りご覧いただき、総合的に判断していただければと思います。

 なお、ここに記載されている国内の情報はナグモクリニックのケースで、タイに関しては一般的なケースを想定しています。国内美容整形クリニックの場合ですと、術式が限られたり、法的手続きの手間が増える場合がありますので、ご注意ください。


手術について
 普段他人に見せる部分ではないとはいえ、結構気になさる方はが多いと思います。その後の体調や生活にも影響しますので、しっかり検討しましょう。

ナグモクリニック タイ
反転法
大腸法
(S字結腸)
時前の陰部脱毛 不要 必要
執刀医による
長期的経過観察

分院での診察も可
×
タイ滞在時のみ
胸部同時手術
入院期間 ~7日程度※ ~8日程度※

※入院期間はおおよそです。術式や治癒の早さによって前後する場合があります。
※日本の大学病院だと10日程度の入院です。


医療以外
 もちろん言葉や手続きなど、医療以外の面でも違いがあります。

ナグモクリニック タイ
執刀医へ提出する診断書 2通(1st/2ndオピニオン) 1通(英文のみ)
日本語
執刀医・看護師へ直に言える

片言なら通じる場合もあるが、基本的に通訳が必要
アテンド 不要 必要
知識があれば一人でできなくもないが、タイ語や現地での手続きを知らないなら、利用しないと難しい
戸籍変更に必要な
診断書

執刀医自ら作成するため、他院への通院なし
×
国内の泌尿器科や婦人科にて別途作成する必要あり
現地への交通手段 主に新幹線
東京駅 ↔ 名古屋駅
1時間40分~2時間40分※
飛行機
成田/羽田 ↔ スワンナプーム
6時間~6時間45分※

※自宅~駅または空港~ホテルまたは病院までの所要時間が、別途かかります。


金額
 かなりお金がかかる手術なので、経費がいくらかかるかも気になる方は多いと思います。2023年現在のことを記載します。

ナグモクリニック タイ
反転法 1,496,000円※1 1,260,000円 ~1,430,000円※2
大腸(S字結腸)法 2,299,000円※1 1,810,000円 ~2,540,000円※2
電車代 ○(国内での移動時)
航空代 ×
ホテル代
アテンド代 ×
海外旅行傷害保険料 × △※3

※1別途、交通費とホテル代がかかります。
※2別途、航空チケット代、ホテル代、アテンド代がかかります。
※3アテンド業者によっては、請求されます。

 アテンド業者へ頼む場合、航空チケット代、ホテル代、アテンド代などがかかるため、手術代の他に40~50万円程度はかかります。


ダイレーター
 最後に造膣した場合は、自然治癒力からくる狭窄が起こらないように、ダイレーターという棒を膣に差し込んで癖を付けさせます。素材の違いがあるので比較します。

ナグモクリニック タイ
ダイレーター シリコン製 アクリル製
弾力 多少弾力がある
多少穴の向きに合わせられる
硬い
真っ直ぐしか入らない
肌ざわり ソフトかつ常温 つるつるかつ少々冷たい
潤滑ジェル 使用する 使用する


国内SRSの手順と対応クリニック(準備編)
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国内SRS直前の流れと用意するもの(入院前編)
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国内SRSの話(執刀医編)
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国内SRSの話(術式編)
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国内SRSの話(入院中編)
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国内とタイのSRSメリット・デメリット(MTF)
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SRSは万能薬ではない
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歩き方に出る男女の違い
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2023年4月3日月曜日

国内SRSの話(入院中編)

  今回は入院してからSRSを受け、退院するまでを説明します。この辺は、ナグモクリニックのHPにも書かれていないことなので、ここでしかわからないかもしれません。


入院中の流れ
 入院時については下記の通りです。ただし、私の場合はフルメニューで手術した上、しばらく出血が止まらなかったため、入院期間が延長されました。多くの方はこれよりも短い期間で退院し、その後ホテルからの通院となります。

【1日目】
クリニックへ到着
病室へ荷物を置き、着替える
手術室へ移動
手術台へ移動し、体を固定
患部の消毒と麻酔
執刀開始
男性器除去/外陰部形成/造膣/尿道カテーテル装着
6時間ほどで病室へ(1日目終了)

【2日目】
目覚め
点滴を常時打たれている
とにかく安静
(この間に採取した皮膚シートの脱毛処理)
就寝(2日目終了)

【3日目】
目覚め
術部を診察
出血が止まらず、輸血を検討
皮膚移植手術延期
就寝(3日目終了)

【4日目】
目覚め
術部を診察
止血確認し、輸血回避
ようやく手術室へ
膣壁に皮膚シートを張り付ける施術
数時間で病室へ(4日目終了)

【5日目】
目覚め
術部を診察
移植した皮膚の確認
ベッドで安静
就寝(5日目終了)

【6日目】
目覚め
術部を診察
この日あたりで抜糸したような
トイレトレーニング
尿道カテーテルに輪ゴムをつけて、尿意の感覚を取り戻す訓練
他の患者さんに医療用ベッドを譲るため、急遽別室のベッドへ移動
就寝(6日目終了)

【7日目】
目覚め
歩行訓練
ふらつくこともなく、院内を少し歩く
医療用ベッドが空いたので戻る
診療所のため調理場が無く、出前を取ってくれる
釜寅のメニューを渡され、名古屋なので鰻の釜めしをチョイス
就寝(7日目終了)

【8日目】
目覚め
尿道カテーテルを抜く
トイレへ行き、自力で排尿できるかテスト
勢いよく排尿できたので問題なし
ダイレーションキットを渡されてやり方を体験しながら教わる
一通り成功したので、退院の許可が出る
着替えて退院、元のホテルへ
再度ホテルにチェックイン
部屋へ行き、就寝(8日目終了)

 記憶がおぼろげなので、ところどころ日にちが前後しているかもしれません。概ねこんな流れだというのを掴んでいただければと思います。


大変だったところ
 もちろん全てが順調だったわけではありません。個人的に大変だったところを挙げていきます。

出血が医師の予想外に多かった
 2回目の施術を延期するほど出血が多かったです。膣の中に突っ込んだガーゼが何回交換しても真っ赤になってしまい、予定外の輸血まで検討するほどでした(実際は、そうなる手前でなんとか止まりました)。

 原因は血液型にあります。というのも私はO型なのですが、このO型の血液は赤血球と血小板とが結びつきにくく、凝固しにくい特性があるからです。詳しく説明すると、本来O型はゼロ型と呼ばれていました。なぜかというと、A型は血液細胞にAのタイプの突起が付いていて、B型はBのタイプの突起が付いているのですが、O型はそのいずれも付いていないからです。

 ゆえに引っかかる部分がないから凝固作用を持つ血小板とくっつきにくく、液体の状態を維持してしまうためO型は血が止まりにくいのです。これはタイでSRSを受けた他のO型のYouTuberさんも言ってました。

手術直後の背中の痛み
 大きな手術をしたから術後縫合部の痛みが強くて大変だったという話を聞きますが、私の場合はそんなことありませんでした。麻酔や痛み止めがよく効いていたのだろうと思います。

 その代わり、背中と腰の痛みが酷かった。痛すぎてまともに寝返りできないくらい。恐らく、手術中何時間も同じ仰向けの姿勢で寝ていて、寝返りを打てなかったからだと思います。紐で縛られて、腕を固定されていたし。結果、背中と腰に負担がかかって、凝り過ぎてしまったのが痛みとして出たのでしょう。

 これも他の人で言っているの見ました。

入院中のベッドの変遷
 大病院では起こらないと思いますが、クリニックであるため名古屋院は入院用の病床が少なく、他の患者のためにベッドを空けるという珍事が発生。その頃には痛みも引いていたのでよかったですが、バックヤードみたいなところにある簡易ベッドに移ったのは、ちょっとびっくりしました。


良かったところ
 最後に良かったところを挙げていきます。

日本語が通じる
当たり前ですが、名古屋なので日本語が通じます。何なら名古屋弁も通じるかも。だから医師や看護師へ直接症状を伝えられます。アテンド不要。

事前の自前での陰部の脱毛が不要
 移植用の皮膚シートを作る際に、医師の方で脱毛処理をしてくれるので、患者が事前に脱毛サロン等へ行く必要がないです。

病院食ではなく出前
良いとも悪いとも言えませんが、クリニックなので食事は出前です。病院食は味気なくて嫌いという方にはいいのではないでしょうか。まあ、内臓や循環器に不調があって手術したのではないので、特に食事に配慮する必要がないですから。なので私は、名古屋であることと精力を付けるために、割高なのを承知で鰻の釜めしにしました。釜寅のカタログ持ってこられた時は、正直ギャグかと思いましたけど。


ナグモクリニックHP
https://www.nagumo.or.jp/

ナグモクリニックGID外来
https://www.gidcenter.com/


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2023年4月2日日曜日

国内SRSの話(術式編)

  これまで手術に至るまでのことを記事にしてきました。今回は本丸にあたる手術の件についてお話します。

術式について
 ナグモクリニックでは、胸部、SRSにかかわるほとんどの術式を取り扱っております。総合病院ではない法律上診療所に分類される医療機関の中では、最も技術力のあるクリニックだと思います。ひとえに埼玉医大で学ばれた山口医師のお陰だと思います。それだけに、沢山のオプションがあり文章ではわかりずらいので、表にしてみます。

MTF FTM
ホルモン 注射※1 注射※1
胸部 豊胸手術 乳腺除去手術
麻酔 全身麻酔
硬膜外麻酔
腰椎麻酔
局所麻酔
全身麻酔
硬膜外麻酔
局所麻酔
陰部※2 精巣摘出術
陰茎切除術
外陰部形成術(陰唇・陰核形成)
反転法造膣術(陰嚢皮膚使用)※3
大腸法造膣術(S字結腸使用)※3
パッキング法膣再建
大腸法膣再建
他院術後外陰部修正
子宮卵巣摘出術
膣閉鎖術
尿道延長術
陰嚢形成術(睾丸形成術含む)
陰茎形成術
亀頭形成術
他院術後修正
リンク ナグモHPへ ナグモHPへ

※1基礎疾患、常用薬がある場合、妊娠中の場合はできないことがあります。
※2両性具有者は要相談。
※3造膣なしも選択可能。


ナグモクリニックにおける手術について
 よく造膣術について語っている当事者がいますが、無自覚に間違った情報を流している人がいるので、信じてはいけません。手術を受けたとはいえ医療従事者ではないので医学的知識がなく、素人考えで話している例が散見されます。実際言った本人にエビデンスを尋ねたら、答えられないと思います。私のこの記事が正しい情報ですので、ぜひお読みください。

手術を2回に分けてやるのは技術がないからではない
 時々、「日本では造膣をするのに2回に分けてやるから技術がない」、「タイは1回で済ませるから技術力が高い」という人がいますが、その人は手術の詳細を知らない人です。なにより、見落としている箇所があります。タイの場合、大抵手術前に本国で陰部の永久脱毛をするように厳命されます。ナグモクリニックの場合は陰部の永久脱毛は求められません

 なぜかというと、皮膚シートを採取した後、ナグモクリニックの方で脱毛処理をしてくれるからです。ただ、根気のいる作業のため時間が必要になるので、中1日必要なのです。

 反対にタイが1日で終えられるのは、患者に前もって脱毛させることで執刀医の手間を省いているからで、技術の問題ではありません。なので、患者側のコストが高くなります。

 このことから、ナグモクリニックの手術では脱毛サービスがあります。

玉抜きについて
 海外の患者はあまりしませんが、日本の場合男性ホルモンの分泌を断つために精巣除去手術(いわゆる玉抜き)のみを先んじて行う人が多いです。その結果、陰嚢が委縮して皮膚の残量が少ないケースが多く、術式の選択肢が絞られたり、修正しようにも皮膚が足りなかったりすることになります。

 ナグモクリニックではそのようなことを懸念して、HPにてなるべくなら玉抜きをおススメしないことを記載しています。

※玉抜きした方でも、執刀はしてくれます。ただし、事前の診察で皮膚残量のチェックがあるため、足らないと判断された場合はタイでの手術と同様反転法を選択できなくなります。私は事前の玉抜きをしなかったため、皮膚が足りて反転法で行いました。

見た目について
 国内SRSの術例写真が公開されていないし、見せ合うこともしていないので、客観的に美醜を判断することができません。多くの場合、タイでオペした者同士で比べ合っているので、見たことがないのに国内SRSが悪い言うのはナンセンスです。

 私がオペした頃はまだ駆け出しでしたが、今は10年以上キャリアを積んでおり、ナグモクリニックの山口医師は国内有数の臨床数を誇るので、腕は大分上がっていると思います。さらに、修正手術も承っているのはタイと一緒なので、以前ほど違わないかと思います。

アフターフォローについて
 日本国内で手術を受けるので、術後のアフターフォローや経過観察を執刀医にしてもらうことができます。この点がタイでのオペとの大きな違いです。ナグモクリニックの山口医師は東京に出向することもあるので、わざわざ名古屋に行かなくても診てもらうことができます。その際に修正手術をお願いすることもできます。


ナグモクリニックHP
https://www.nagumo.or.jp/

ナグモクリニックGID外来
https://www.gidcenter.com/


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SRSは万能薬ではない
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2023年4月1日土曜日

国内SRSの話(執刀医編)

  SRSの手術時の話はアテンド会社や利用者がブログやYouTubeで多く公開しているので、今更私は情報を出しても被るだけで新鮮さが無いと思っていたけど、国内SRSの情報がほとんど見られないということをSNSで言っている方がいたので、貴重かもしれないと思い紹介します。

執刀医について
 今現在ナグモクリニックには2名(2023年4月時点)のGID学会認定医がおります。一人は、私の執刀をして下さった名古屋院院長の山口悟医師。もう一人は、大阪院理事長の丹羽幸司医師です。

 丹羽医師にはお会いしたことが無いので、正直私はよくわかりません。一般女性の診療にあたる傍ら、GIDに関してはFTMを専門に扱っているようです。

 なので、ここでは主にGIDセンター長も務める山口医師について解説します。

GIDセンター長・山口悟医師
【資格】
・医学博士(埼玉医科大学)
・日本乳癌学会 乳腺専門医
・日本形成外科学会 形成外科専門医

【略歴】
1997年3月 福島県立医科大学医学部 卒業
1999年4月 東京女子医科大学東医療センター 形成外科助手
2002年4月 ヨーロッパ癌センター(イタリア)クリニカルフェロー
2003年10月 埼玉医科大学総合医療センター 形成外科助手
2006年12月 ナグモクリニック東京院長
2009年3月 ナグモクリニック名古屋院長・GIDセンター長
2014年9月 ナグモクリニック名古屋 院長(継承開設)

【所属学会】
・日本乳癌学会評議員
・GID(性同一性障害)学会理事
・JOPBS乳房再建用エキスパンダー・インプラント責任医師
・JSPRS乳房増大用エキスパンダー・インプラント実施医師
・日本美容外科学会(JSAPS)正会員
HPより

【手術スキル】
 略歴にある通り2003年10月~2006年12月まで埼玉医大総合医療センターに在籍しています。この期間は、マイクロサージャリーの権威と言われ、日本で初めて公式にSRSを行った原科孝雄教授の在籍期間と重なります。原科教授は、性同一性障害研究会会長や理事長を務めたこの分野における日本のパイオニアで、正規ルートと呼ばれる道筋を確立した方です。山口医師はここで助手を務めることで、ノウハウを身に着けたものと思われます。

※原科孝雄医師
 元々は事故や癌などで欠損した部分の再建手術を専門とする形成外科医。1985年に交通事故で外性器を失った男性に、再建手術を実施。1998年にFTMに対して初の公式な性別適合手術を実施し、続いてMTFにも施術。

 なので、美容外科でのSRSと異なり、FTMの場合は陰茎形成や陰嚢形成、MTFの場合は外陰部形成だけでなく造膣(反転法・S字結腸法)も行います。手術メニューは、大学病院と並び日本で最も多いかもしれません。

 2009年からと施術期間も長くその分臨床数も多いので、一般に言われる国内SRSとは一線を画すると思います。

【人柄】
 イタリアにいたことがあるからか、結構気さくです。勤務先の名古屋で地元ラジオ局のDJも務めるという、芸能活動までするマルチプレイヤーです。趣味はバイクだそうで、かなりアクティブな方です。


 一応丹羽医師についてもちょっと紹介します。

大阪院理事長・丹羽幸司医師
【資格】
・医学博士(近畿大学)
・日本形成外科学会専門医 領域指導医
・日本美容外科学会(JSAPS)評議員・専門医
・日本頭蓋顎顔面外科学会専門医
・日本乳癌学会認定医
・GID(性同一性障害)学会 理事・認定医
・日本形成外科学会ロボット支援下内視鏡手術に関するワーキンググループ委員
・日本精神神経学会 性同一性障害委員会委員(ガイドライン作成委員)
・NPO法人関西GICネットワーク 理事/身体治療適応判定会議委員
・NPO法人クラニオフェイシャルセンター 理事

【略歴】
1995年3月 近畿大学医学部医学科 卒業
1995年5月 近畿大学医学部附属病院形成外科 研修医
1997年3月 同上 研修終了
1997年4月 近畿大学医学部附属病院形成外科 医員
2001年3月 近畿大学大学院医学研究科 卒業(医学博士号取得)
2001年4月 近畿大学医学部附属病院形成外科 病院講師・病棟医長
2002年5月 近畿大学医学部奈良病院 診療講師
2002年10月 同上 退職
      医療法人社団ナグモ会ナグモクリニック大阪 院長
2007年5月 近畿大学医学部附属病院形成外科 非常勤医師
2009年4月 近畿大学医学部附属病院形成外科 非常勤講師
2009年10月 ナグモクリニック大阪 院長(継承開設)
2011年7月 医療法人ガクト会ナグモクリニック大阪 理事長
2022年9月 慶應義塾大学大学院理工学研究科(後期博士課程) 入学

【所属学会】
・日本形成外科学会
・日本美容外科学会(JSAPS)
・日本頭蓋顎顔面外科学会
・日本乳癌学会
・GID(性同一性障害)学会
・日本精神神経学会
・NPO法人関西GICネットワーク
・NPO法人クラニオフェイシャルセンター
・日本再生医療学会
HPより

【手術スキル】
 丹羽医師に関しては、FTMの手術を専門に取り扱っているようです。子宮卵巣摘出手術を行っており、2016年3月から腹腔鏡下手術も開始して、傷口を目立たなくさせることもできるようになったとのこと。


 胸部の手術に関しては上の2人の他に、中澤学福岡院院長、坪田優大阪院院長、南雲吉則総院長/理事長も行うそうです。


ナグモクリニックHP
https://www.nagumo.or.jp/

ナグモクリニックGID外来
https://www.gidcenter.com/


国内SRSの手順と対応クリニック(準備編)
https://akachinmoney.blogspot.com/2023/03/srs.html


国内SRS直前の流れと用意するもの(入院前編)
https://akachinmoney.blogspot.com/2023/03/srs_31.html


国内SRSの話(執刀医編)
https://akachinmoney.blogspot.com/2023/04/srs.html


国内SRSの話(術式編)
https://akachinmoney.blogspot.com/2023/04/srs_2.html


国内SRSの話(入院中編)
https://akachinmoney.blogspot.com/2023/04/srs_3.html


国内とタイのSRSメリット・デメリット(MTF)
https://akachinmoney.blogspot.com/2023/04/srsmtf.html


SRSは万能薬ではない
https://akachinmoney.blogspot.com/2023/04/srs_18.html


歩き方に出る男女の違い
https://akachinmoney.blogspot.com/2023/07/blog-post.html


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