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2024年4月6日土曜日

雇用保険(失業保険)ー失職後の生活を支えるつなぎの収入

 雇用保険とは、労働者の失業後の生活や再就職、職業訓練などのお金を一時的に給付する制度です。手続きはハローワーク(職業安定所)で行い、診査の後に一定の実績(求人への応募や就職相談など)が確認されたら、給付されます。

 退職理由や在籍期間、年齢、副収入の有無によっては支給期間や制限を受けるため、必ず確認するようにしましょう。さらに、雇用保険の受給手続で離職票が必要となるので、必ず退職する際に職場で発行してもらってください。

 職業訓練や特別な事情がある場合には、受講料の一部負担や追加支給の措置もありますので、もしあてはまる場合は利用するのもいいでしょう。

対象者と保険料

 対象者と保険料の負担は下記の通りです。

対象者
正社員及び社会保険に加入している時間給労働者や派遣労働者。
時間給労働者や派遣労働者の場合、1週間の所定労働時間が20時間以上かつ31日以上の雇用見込みがあること。
※ただし、経営者や役員、個人事業主とその家族は対象外。

対象者
保険料率と負担割合は業種によって異なるものの、事業主と労働者が負担する。
※ただし、折半とは限らない。

基本手当(求職者給付)

 通称失業保険と呼ばれており、65歳未満の失業者(働く意思と能力がある失職している人)に対する給付のことです。居住地を管轄するハローワークへ離職票を提出し、手続します。

●受給要件

 退職理由によって異なります。詳細は下記の通りです。

自己都合の場合
離職前の2年間に被保険者期間が通算12ヶ月以上あること。

倒産や解雇などの会社都合の場合
離職前の1年間に被保険者期間が通算6ヶ月以上あること。

 会社都合の場合、期間が半分で良いということがわかります。

●待期期間と給付制限期間

 最初の受給資格決定日から7日間は待期期間と言って、支給されない期間があります。

 さらに自己都合退職の場合は7日間の待期期間に加え、5年間の内2回までは2ヶ月間の給付制限期間があります。3回目以降や、自分原因による重大な責任問題で退職した場合は、3ヶ月の給付制限期間がありますので、ご注意ください。

●受給日数

 退職理由や年齢によって給付日数が異なります。詳細は下記の通りです。

自己都合の場合
被保険者期間 1年以上10年未満 10年以上20年未満 20年以上
65歳未満の全年齢対象 90日 120日 150日

会社都合の場合(解雇・倒産など)
被保険者期間 1年未満 1年以上
5年未満
5年以上
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
30歳未満 90日 90日 120日 180日 ―
30歳以上35歳未満 120日 180日 210日 240日
35歳以上45歳未満 150日 180日 240日 270日
45歳以上60歳未満 180日 240日 270日 330日
60歳以上65歳未満 150日 1850日 210日 240日

教育訓練給付

 教育訓練給付とは、所定の要件を満たす雇用保険の被保険者および被保険者であった者が、厚生労働大臣指定の講座を受講し、修了した場合にかかった費用の一部が支給されるものです。一般教育訓練給付と特定一般教育訓練給付の2種類があり、それぞれ指定講座や受給割合が異なります。

●一般教育訓練給付

 一般教育訓練給付は、雇用保険の被保険者期間が3年以上(初受講の場合は1年以上)あることが条件です。給付額は、受講料等の20%相当額、上限10万円です。

●一般教育訓練給付

 税理士や社会保険労務士などの資格取得や介護職員初任者研修など、早期キャリア形成および就職になる特定の講座を受講する場合に受けられる給付です。受講料等の40%相当額、上限20万円が支給されます。

育児休業給付

 親が育児休暇を取得する際に給付されます。条件は、満1歳未満の子がいること。パパママ育休プラス制度を利用する場合は、1歳6ヶ月または2歳未満の子がいることが条件で、最長2歳まで支給対象期間を延長できます。金額は、休業開始賃金の67%(休業開始後6ヶ月経過後は50%)です。

雇用継続給付

 再就職が難しいと考えられる特別な場合に給付されるものです。条件は下記の通りです。

被保険者期間 給付対象者の条件 給付額
高年齢雇用
継続給付
60歳以上65歳未満
被保険者期間5年以上
60歳時点と比べて、60歳以降の賃金が75%未満となった場合
各月の賃金額の
最大15%
介護休業給付 配偶者、親、子などが要介護状態にあり、一定の条件のもと介護しなくてはならなくなった場合 休業開始時の賃金額の
67%



2024年3月23日土曜日

私のリスクヘッジ

  投資は相場物なので時々で価格変動があり、リスクが伴うものです。そのリスクを少なくし、できる限り安定した運用をさせるには、リスクヘッジが不可欠です。

 そこで、ここでは私が採っているリスクヘッジ方法をご紹介します。

基本的にETFを買い増し

 個別株には資金の少ない初期段階では手を出しません。個別株の場合、会社の業績や時期に左右されやすいので将来の予測が付きにくいのと、単体ではリスクの相殺ができないため安定化しないからです。

 それに引き替えETF(Exshange Traded Funds:上場投資信託)は投資信託の一種で、一つの銘柄の中に数十~数百の株や債券などが含まれています。その中で運用成績が相殺され個々の会社の業績に左右されにくいため、価格が安定しやすく、リスクヘッジが効かせられます。

 さらに、株式指標に順じて価格変動されるため予測が付きやすく、大きな利益は望めないものの損失も出しにくいことからインデックス投資にも用いられるため、かなり需要があるので安パイです。

10種類の銘柄を保有

 前項でも書いたようにETF単体でもリスクヘッジの効果があるものの、株式市場で売買されることからETF自体にも価格変動があるので、リスクがあると言えます。

 そこで私の場合は10種類程度のETFとJ-REIT(不動産上場投資信託)を購入することで、さらなるリスクヘッジを行っています。日本株系だったら、東証平均株価型、デジタル特化型、TOPIX型と、米国株系ならNYダウ型、S&P500型、ナスダック型とに振り分けています。

 こうすることで個々のETFの価格変動にバラつきを持たせられるので、リスクの相殺が可能となりトータルでの価格の上下動を小さくできます。

金(ゴールド)も併せて保有

 とは言え多くのETFは株式の運用によって成り立っているので、下げ相場となれば総じて価格を下げることになります。そんな事態にも対応させるために、金地金も保有しています。と言うのも、株式価格に割合反比例するように金は価格変動するため、株やETFへのリスクヘッジとして有効だからです。

 しかもここ近年は、貴金属宝飾品としての需要の他に半導体の材料としても大量に消費されているため年々右肩上がりで価格上昇しており、恐らくこの傾向は今後も続くとみられるので、投資対象としては魅力的です。

 欠点は先物であるために配当や分配金が発生せず、売買での差額でしか利益を出せないこと。ただ、電子化されてしまった株や投資信託と違って現物取引も可能なので、安心を得るために実態のあるものをという方にはおススメです。

まとめ

 このように私の場合は3段階のリスクヘッジを効かせているので、トータルでの価格変動をかなり小さくできていると思います。実際、世界情勢の変化で株やETFの価格が下がった時も金のお陰で助かっていますし、個々の会社の業績をチェックする必要もないため、仕事をする時間も確保できています。

 さらに、リスクの軽減ができたことで安定した収益が得られ、不労収入化しました。結果的に焦りが無くなりメンタルが落ち着いて、精神の安定も得られています。



2024年3月22日金曜日

障害年金生活者支援給付金

 以下の二つの要件を満たしている方が対象です。

支給対象
①障害基礎年金の受給者
②前年の所得*が4,721,000円**以下
*障害年金などの非課税収入は、年金生活者支援給付金の判定の所得には含まない
**扶養親族の数に応じて増額

給付額(令和5年度)
障害等級1級:6,425円
障害等級2級:5,140円



2024年2月17日土曜日

障害厚生年金

 精神疾患や身体障害を持っていて就労できない方の生活を保障するのが、障害年金です。この障害年金には、障害基礎年金と障害厚生年金の2種類があります。ここでは、障害厚生年金について説明します。 

 まずは障害厚生年金と障害基礎年金には、違いがあります。
障害基礎年金との違い
①障害等級3級でも受給できる
②1級~2級の場合、障害基礎年金も受給できる
③1級~2級で配偶者がいる場合、配偶者加給年金も受けられる

 障害厚生年金の受給条件

 障害厚生年金を受給するためには、下記の条件をすべて満たしていなければなりません。
障害厚生年金の受給条件
①初診日に厚生年金の被保険者であること
②障害認定日に1級~3級の状態にあること
③障害基礎年金の保険料納付要件を満たしていること

 ③の保険料納付要件は下記の通りです。
保険料納付要件
〇保険料納付済み期間が2/3以上であること
〇上記に該当しない場合は、初診日が令和8年3月31日までの場合、初診の月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がないこと

 年金の金額は下記の通りです。
障害厚生年金の金額
1級:報酬比例部分×1.25+配偶者加給年金
2級:報酬比例部分+配偶者加給年金
3級:報酬比例部分のみ

 併給の注意点

 障害厚生年金を受給する際、障害基礎年金を併給することが可能です。しかし、老齢基礎年金と遺族基礎年金との併給はできません。



2024年2月13日火曜日

障害基礎年金

 精神疾患や身体障害を持っていて就労できない方の生活を保障するのが、障害年金です。この障害年金には、障害基礎年金と障害厚生年金の2種類があります。ここでは、障害基礎年金について説明します。 

 障害基礎年金の受給条件

 障害基礎年金を受給するためには、下記の条件をすべて満たしていなければなりません。
障害基礎年金の受給条件
①初診日に国民年金の被保険者であること
②障害認定日に1級または2級の状態にあること
③保険料納付要件を満たしていること

 ③の保険料納付要件は下記の通りです。
保険料納付要件
〇保険料納付済み期間が2/3以上であること
〇上記に該当しない場合は、初診日が令和8年3月31日までの場合、初診の月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がないこと

 年金の金額は下記の通りです。
障害基礎年金の金額(令和5年4月1日現在)
1級:795,000円×1.25=993,750円
2級:795,000円

※子供がいる場合、人数に応じてさらに加算されます
1~2人目まで:1人につき228,700円
3人目以降:1人につき76,200円
※子とは、18歳到達年度において3月31日を経過していない子、もしくは20歳未満で障害等級1級または2級の障害のある子を指します。



2023年7月7日金曜日

歩き方に出る男女の違い

 トランスジェンダーの方にとって一番の懸案は、「他人から女性に見えるのか?」ということではないでしょうか。そこで、女性的な仕草を取り入れようとするも、なかなかそうは見られないといって悩むこともしばしば。

 それもそのはず、男性的要素を残したまま女性の仕草をしても不自然だからです。そのためには男性的な要素もトレーニングをして、薄くする必要があるのですが、意外とそこに気づいていない方がよくいます。

 私は男→女へ性別移行すると決めてもう20年以上生活しており、ホルモン投与のため長年ジェンダークリニックへ通っている中で、複数のトランスジェンダーの方を見てきました。可愛くて上品であるがゆえに思わず振り返りたくなる方もいれば、男性であることがバレバレで発展途上の方も多く見受けられます。

 そんな発展途上の方を何人か見てきて、いくつかの共通点を発見しました。その内の一つをご紹介します。

男性的な歩き方の癖が付いたまま

 発展途上の方、特に中高年トランスの方によく見られるのが、男性的な歩き方です。歩く時って無意識だし、鏡や動画を通さないと自分で自分の動きを見ることはできないので、自分では気づきにくいです。でも、日常よく見かけるシーンであり、全身を使った動きなので目立ちやすく、結構性差が出やすいのです。

上半身の体の揺れ

 一番大きい差が、上半身の揺れです。男性の場合は左右の足をそろえずに歩く人が多く、中高年になるとより顕著になる傾向があるので、足を運ぶ度に体の重心が左右へ行ったり来たりしてしまいます。その結果上半身が左右へ揺れやすく、これが性差として見られやすいのです。


 上の図を見ると、男女で左右の足の間隔に違いがあるのがわかります。これは主に、男女の骨盤の形の違いから来ます。女性は出産をする必要上、胎児を支えたり産道を大きく確保するしたりしなければならないため、骨盤上部が外へ開いています。その結果、これに付随する大腿骨の付け根も外側に寄っており、重心のバランスを取るために大腿骨下部を内側に
寄せる体型になっています。

 結果、歩く時にも自然と足がそろい、重心の左右移動が起きにくいため体の揺れが少ないのです。

 反対に男性の場合、骨盤が閉じているため、大腿骨の付け根が近いです。これだと歩く時に腿の内側がこすれてしまうので、左右の足を離したほうが歩きやすい。ただ、これだとバランスを崩して転んでしまうので、左右へ重心を移動させながらでないと歩けない。なので、揺れが生じるのです。

 この現象は肥満の女性にも起こります。太ることによって腿の内側に脂肪がついてしまうので、足を閉じられないからです。

ガニ股

 男性の中にはガニ股の人も多いかと思います。これも思いっきり男性に見えてしまうので、やめましょう。動きにしなやかさが出ないですし、柄も悪く見えるのでいいことは無いです。

 しかもガニ股は足の力だけで歩くので楽に感じるかもしれませんが、全身を使えていない分、着地の衝撃を分散させられないので、腰に負担がきます。健康上も良くないのです。

 これらを解消するには、トレーニングするしかありません。ファッションモデルのウォーキング練習をして癖をつける。それによって腿の外側の筋肉が発達してくるので、段々と楽にできるようになってきます。さらに新たに筋肉がつくことによって脚痩せもできるので、一石二鳥です。

やらないほうがいい動きもある

小股歩きは×

 小股歩きは着物専用の歩き方と考えたほうがいいでしょう。そもそも女性用の着物の場合、裾が開きにくいため小股でないと歩けず、それが当たり前になったことで自然に見えます。

 しかし、現代では洋服やカジュアルウェアなど欧米から入ってきた衣類を日常的に着るようになったので、西洋人の動きに合わせないとアンバランスに見えます。欧米では女性でも小股で歩くことは少なく、歩く時のストライドが大きいのが特徴です。


 その方が颯爽と歩いているようにも見え、スタイルよく、他人から自信があるようにも見えます。特に元男性の場合は足が長い方も少なくないので、スリムな方であれば尚のこと利点があります。

 ちなみにこのストライドは、先ほどのモデルウォーキングができてくるのに比例して身に着いてくるので、別途何かをやる必要はありません。

内股は×

 内股も日本的といえば日本的な仕草です。確かに童顔の子が内股だと、より幼さが強調されて可愛く見えます。しかし、ある程度年齢のいった人がやっていたらどうでしょう?恐らく多くの方が違和感を持つのではないでしょうか。

 ちなみに欧米では女性であっても内股の人は少ないです。ヨーロッパの伝統舞踊であるバレエに至っては、外股を立ち姿の基本としています。このほうが脚と脚の隙間が空きにくく、スリムでスタイルよく見えます。

 あまりに外股にするのも不自然ですが、並行からちょい開き気味くらいが理想ですし、大概の人の足の向きはこの範囲に収まるので、無理に足の向きを変える必要はありません。しかも、疲れにくいというメリットもあります。

まとめ

 こうして見ると、歩きにも男女差があるのがわかります。さらに時代やファッションの変化によって歩き方も変容しているのがわかります。しかも、これは自分次第で変えられることなので今からでもできます。ぜひチャレンジしましょう。


国内SRSの手順と対応クリニック(準備編)
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国内SRS直前の流れと用意するもの(入院前編)
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SRSは万能薬ではない
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歩き方に出る男女の違い
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LGBTERで私のことが紹介されています
LGBTERでの紹介はこちら
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2023年5月29日月曜日

株式投資における、確定申告方法の使い分け

 5月21日の記事で、各種投資の確定申告及び税率について書きましたが、株式投資(証券投資信託も含む)に関しては複数の申告方法があり、それによっても税率などが変わってくるので、今回はそのタイプ別活用方法について述べたいと思います。

株式投資の申告方法は3種類

 一部、前回のおさらいになりますが、株式投資の場合、確定申告の方法が3種類あります。総合課税、申告分離課税、申告不要(証券会社が代行)です。それぞれ申告手続きに違いがあります。

総合課税 ・給与などの他の収入と合算して申告
・一般の所得税の累進課税制度が適用される
・配当控除が受けられる
・譲渡損失との損益通算ができない
・自身で確定申告が必要
申告分離課税 ・給与などのメインの収入とは別枠で申告
・税率は一律20.315%(一部20.42%)
・配当控除はない
・譲渡損失との損益通算ができる
・自身で確定申告が必要
申告不要 ・証券会社が代行して別途申告
・税率は一律20.315%(一部20.42%)
・配当控除はない
・損益通算できない

といった内容になっています。全てにおいて有利なものがないため、自身の状況に合わせて使い分けないと、税額やコストが変わってきてしまいます。なので、ケースごとに何が得になるかを考えてみたいと思います。

物臭な人には、申告不要がおススメ

 これはシンプルで一番わかりやすい。最も手間がかからないのが、申告不要です。証券会社のほうで代行して申告してくれますし、税金も源泉徴収され代わりに収めてくれるので、自分では何もやらなくてよいからです。普段会社勤めをしていて時間をとれない人とか、家事や子育てで忙しいという人には、取引のみに時間を割くことができるので良いかもしれません。

 ただ、デメリットもあります。まず、税率が20.315%に固定されるので、小額投資の場合は税率が高くつきます。さらに、配当控除が受けられないのと、損益通算(損失を他の収益で穴埋めすること)ができません。そのことから、スタートアップの時点では最も納税額が高くなる可能性があります。

できる限り税金を抑えながら始めたいなら、総合課税

 先の表にあるように、総合課税の特徴は唯一、累進課税制度と控除が適用されるということです。累進課税制度とは、収入の少ない人の税率は低く、収入の高い人の税率は高く設定する制度です。この収入の少ない人の税率は低くの部分を活用すれば、納税額を抑えられます。次の表をご覧ください。

課税される所得金額 税率 控除額
1,000円~194万9,000円 5% 0円
195万円~329万9,000円 10% 9万7,500円
330万円~694万9,000円 20% 42万7,500円
695万円~899万9,000円 23% 63万6,000円
900万円~1,799万9,000円 33% 153万6,000円
1,800万円~3,999万9,000円 40% 279万6,000円
4,000万円以上 45% 479万6,000円
※実際にはこの税率に、復興特別所得税0.315%が加算されます。

これが累進課税の比率です。所得金額が330万円~694万9,000円になると、申告分離課税と同じ税額になるのがわかります。しかも、控除も受けられるので、収入の合計額が694万9,000円までだったら総合課税で申告したほうが税率が低い分、納税額が安くなるのがわかります。投資を始めたばかりでできる限り出費を抑えたいなら、この方法が最適です。

 ただし、この手を利用するためには自分で確定申告しなくてはなりません。そのために、いくら儲けたのか記録をつけ、集計する作業が必要なので、かなりまめな人でないと年始に苦労するかもしれません。

 さらに、収益が大きくなると累進課税制度による税率のアップで、納税額が大きくなります。あくまで、個人投資家の節約術といったところでしょうか。

投資額が大きくなったら、申告分離課税

 申告分離課税の大きな特徴は、どんなに収入が増えても税率が一定ということです。累進課税制度の適用を受けないので、税率がアップするということがありません。なので、収入が695万円以上になったら、申告分離課税へ切り替えると納税額を抑えられます。給与収入や事業収入の場合は法律上、総合課税に分類されるので収入が増えても累進課税制度適用のままですが、投資の場合は申告分離が可能なのでこの手が使えるのです。

 さらに、投資の場合は相場の関係上、損失を計上するケース(損切り)もありますが、この損失を他の上場株式から得た収益で穴埋めすること(損益通算)まで認められているので、より効果的です。

 ただし、この場合も自身で確定申告する必要があります。もっとも、ここまで収益が大きいともはや投資だけで生活できるレベルなので、時間が取れるかもしれませんが。

 それと、配当控除が受けられません。とはいえ、税率アップのダメージよりは小さいので、総合的に考えると申告分離したほうが得です。

なにはともあれ、NISAはやろう

 そして最後に、日本政府の政策として導入された投資の優遇措置であるNISAですが、これはどの事例であっても入ったほうがお得です。なにせ、一定額が非課税になるからです。一般NISAは口座開設から5年間限定で年額120万円まで(2023年まで開設に限る)、積立NISAは開始した年から20年間年額40万円まで非課税なのです。

 さらに、2024年からNISA制度が大きく変わります。最大のメリットは、無期限になったこと。今までは期間を区切られていましたが、なんと政府が終了と言わない限り一定額が永久に非課税なのです。

 加えて非課税枠の金額も大幅にアップし、併用も可能となるとのこと。投資を始めるのに、こんなにおいしい制度はありません。ぜひ、活用しましょう!



2023年5月21日日曜日

投資の税制面での特徴


 多くの方は会社勤めをして収入を得ているかと思います。その際、給与は給与所得に区分されるので、納税の際に累進課税制度に合わせて税率が適用されます。庶民の場合は所得が低いため、5%、10%あたりで済みますが、所得が増えると最高で45%も取られ、負担が増えてしまいます。

 しかし、投資の場合はこの税率が適用されません。ではどうなっているのでしょうか?

投資は給与所得に区分されない

 日本の場合、投資をしている人の割合が1割程度しかいないので、自分には関係ないと思って、知らない方のほうが多いと思います。しかし、ここ近年は少しずつではありますが、投資に挑戦する人の数が増えており、無関係ではいられない状況になってきています。

 ただ、いざ初めてみると様々な違いがあります。その一つが所得区分です。

 投資の場合、労働対価としてお金を手にするわけではないため、給与ではありません。かといって、何か商売を始めてその売り上げからお金を得ているわけでもないので、事業所得にもなりません。

 実は、所有している金融資産の種類と収入の出所によって複数の区分に分かれます。

利子所得

 預貯金や債券(国債、地方債、社債などの公社債)の利子、金銭信託、貸付信託、公社債投資信託の収益分配金が、利子所得の区分になります。税法上は総合課税ですが、一般的には源泉分離課税方式が適用されます。

利子所得の金額=利子収入額(源泉徴収される前の金額)

 そして税率は、

所得税15%+地方税5%+復興特別所得税0.315%=20.315%

になります。

 さらに、利子所得には累進課税制度は適用されず、金額にかかわらず税率は一律です。

配当所得

 株式や証券投資信託を所有すると、配当金や分配金が定期的に支払われます。その収入が配当所得にあたります。

配当所得の金額=配当収入額(源泉徴収される前の金額)ー負債の利子※
※株式や投資信託を購入するのに、借入金がある場合

 税率に関しては一部選択制になっており、これによって異なります。原則としては、他の収入と合算して総合課税として扱われるので、その合計金額に応じた累進課税税率が適用されます。この場合、配当控除が適用されます。

 しかし上場されている銘柄などについては、申告分離課税もしくは確定申告不要(証券会社を通じて源泉徴収されるので)方式も選べます。この場合は利子所得と同じく一律、

所得税15%+地方税5%+復興特別所得税0.315%=20.315%

の税率となりますが、非上場株式などは、

所得税20%+復興特別所得税0.42%=20.42%

の税率となります。申告分離課税と確定申告不要の場合は、配当控除は適用されません。

 ちなみに、申告分離課税を選択した場合は証券会社で源泉徴収されないので、確定申告しなければなりません。その代わり、上場株式等の譲渡損失(損切り)との損益通算ができるので、節税対策として選ぶ方もいます。

総合課税 申告分離課税 確定申告不要
 税率 他の収入と合算した
金額に応じて課税
20.315%(上場株式等)
20.42%(非上場株式等)
 確定申告の必要性 ○ ○ ×
 配当控除の適用 ○ × ×
 上場株式等の譲渡損失との 
 損益通算
× ○ ×

譲渡所得

 株式や証券投資信託などを売却した際の収入は、譲渡所得に区分されます。自分から他の投資家へ株式を譲り渡すからです。譲渡所得の金額は、譲渡価格(売却価格)から取得費(購入額)と譲渡費用(手数料など)と負債の利子(借入金を使って株式などを取得した場合)を差し引いた額になります。

株式等の譲渡所得の金額=譲渡価格ー取得金額ー譲渡費用ー負債の利子

 株式や証券投資信託などを譲渡した際、税率は一律20.315%(所得税15%+地方税5%+復興特別所得税0.315%)で、申告分離課税されます。

累進課税制度が適用されない場合が多い

 今見てきたように、投資の場合は株式等で例外はありますが、そのほとんどが一律20.315%の固定税率を適用されるという特徴があります。投資による収入が小さい時は、給与収入より税率が高くて負担が大きいですが、累進課税制度が適用されないので収益が増えるほど節税効果が表れてきます。

 なので会社の経営者などは報酬を現金では受け取らず、自社株買いする形で受け取ることで税率を下げ、さらに株価上昇に伴う差益も受け取ることで収入を増やす手を使う人もいます。

まとめ

 このように、給与収入や事業収入と異なって、投資によって得た収益は大きく税制に違いがあります。特に、固定税率というところを活用するのは資産家の常套手段となっています。そしてこの制度は身分関係なく庶民にも適用されるので、私たちも長年投資に携わればその恩恵を受けられる可能性が出てきます。

 なので、資産管理の一環として、将来の資金作りのために、投資をする手もあるのではないでしょうか。



2023年5月15日月曜日

意外に勘違いしている、相手の立場に立つということ

 叱られている時などによく、「相手の立場に立って考えなさい」と言われたことがある人は多いと思います。でも実際のところ、お互いの脳が繋がっているわけではないので、中々相手がどう思っているのかわからないですし、想像したとしても確認しないことには合ってるかどうかわからないものです。

 ただ相手の考えを推察するのが割とできる人と、いつも的が外れていてできない人がいるようです。しかも、相手の考えを読めないと出方がわからないので、間違った対応をし、対人トラブルを頻発させ、不幸せになる原因になります。そこで今回は、この両者の違いはどこにあるのか、分析します。

相手の考えを読み間違える人

 では、相手の立場に立っているつもりで、推察できていない人にありそうなパターンを列挙していきます。

「自分だったらこうする」がベースになっている

 相手の立場に立っているつもりになってる人がよくやりがちな、ベースの思考パターンがこれです。発達障害の人に多いそうですが、相手を自分に置き換えて考えるやり方をしてしまっているのです。

 「もし自分がこのシチュエーションになったらこうする」とか、「もし自分がこうされたらこうリアクションする」とかといった思考法で、要は自分と相手のシチュエーションだけを入れ替えているのです。でも実際には価値観や判断軸も違うし、そうなった相手の背景もあるのですが、そこまでチェンジした上で考えるという習性がないんです。

 その結果、立場を入れ替えたとしても自分の価値観と自分の判断軸でしか考えておらず、自分視点から抜け出せず、相手のことを考えない人、自己中な人という評価を得てしまいます。

深く考えず、決めつける癖を持っている

 頭を使うのもかなり面倒な作業なので、脳は本能的かつ無意識にサボる癖があります。そこで採られやすい手段が、「決めつけ」です。決めつけてしまえば、それ以上考えなくてよくなるので、脳はサボることができます。

 ただ、深く考えての判断ではないので、非常に浅はかなものになりがちです。しかも、決めつけはパターン化された思考なので、ケースバイケースで考えていません。なので、個々の相手と合うはずがありません。だから、読みが外れるのです。

人の行動パターンの引き出しが少ない

 とはいえ、知識と経験がたくさん身についていれば、パターン化された思考でもそのバリエーションによってカバーすることができなくはありません。しかし、相手のことを推察できていないということは、この引き出しも少ないことがわかります。

 そして、これはいくら人付き合いの数をこなしても、自分の糧として身につけるノウハウが無かったら、増えていきません。単純にたくさん人と合えば、勝手に身につくというものでもないのです。

誘惑に負けやすく、我慢や妥協を知らず、自分を優先しがち

 相手の気持ちがわかるわからない以前に、尊重する気が無いタイプです。仮にあったとしても、目の前に自分の利益になるものがあると、そちらに目が奪われ、結果的にその気が無くても相手の立場を蔑ろにしてしまいます。

言葉だけで判断する

 必ずしも相手が本音をいうわけではないし、お互いの国語力のレベルにもよるので、言葉を額面通りに解釈すると相手の考えを読み間違います。

 例えば、社交の場ではお世辞や建前で話す機会が多いですが、真に受けるとひんしゅくを買います。友達付き合いでも、悩んでいるにもかかわらず相手が「大丈夫」と言って、本音を言わないケースもよくあります。ここでどうしたのか尋ねなかったら、空気読めないヤツと判断されるでしょう。

自分を疑わない、相手に確認しない

 そもそもの話として、読み間違えているかもしれないことに気付いていないことのほうが、多いかもしれません。そこに気づくためにはまず、自分を疑うことから始まりますが、大抵の人はやっていないのではないでしょうか。

 そして、疑う癖を持っていたとしても、それが合っているかどうかは当人に聞かないとわかりませんが、ほとんどの人はやっていないでしょう。これでは、相手の考えが読めているのかどうか、わかるはずありません。

読み間違いからおこるトラブル

 このように相手の立場に立てないケースが様々あることが、考えられます。では、相手の立場に立てないとどうなるのでしょうか?

自分基準でしか考えない

 共通して起こる現象としては、自分の事しか考えられなくなる事でしょう。相手の視点、相手の価値観でシミュレーションしないのですから、常に自分視点、自分基準の考えや判断になります。

 その結果、相手のためにしたつもりが、自分の利益にしかなっていないとうことが起こります。そして、そのことに自分が気づいていないため、傍からは自己中心的、利己的という評価を受け、遠ざけられます。

ありがた迷惑

 仮に自分が相手のためと思ってしたことであっても、相手の価値観や相手のニーズを汲み取っていないので、的外れなものとなります。それは相手にとって余計なお世話で、ありがた迷惑にしかなりません。

 これが何度も続けば、空気が読めない人、独りよがりな人というレッテルを貼られてしまいます。

仕事にも支障が出る

 お客様のニーズを汲めないので、希望に応えられなかったり、ヒット商品を生み出せなかったりします。そうなれば、営業成績が伸び悩むことになるでしょう。

 相手が上司だった場合は、気の利かない人、TPOをわきまえず、臨機応変に対応できない人となり、仕事での評価が下がります。

自分のエゴを押し付ける

 立場を入れ替えても自分の価値観で考えるわけですから、エゴの押し付けになります。相手の価値観を排除していることにもなりますので、思想、信仰、言論の自由を奪うことにもなります。それは相手を尊重していないですし、民主主義の精神に反しており、人権を侵害しています。

ケンカや口論が増え、人間関係が悪化する

 一番問題になりやすいのはこれでしょう。自分以外の価値観があるのがわからないので、自己中心的にならざるを得ないのですから、わがままに映ります。

 そうなれば普通は相手が憤慨するのは容易に想像できるのですが、自分視点でしか見ていないので他の視点に気づかず、他人の判断軸の存在を知らないので、そこに抵触してしまいます。

 結果、頻繁に地雷を踏んでしまい、ケンカや口論になるケースが増え、上手く人間関係を作ることができなくなります。

欲求不満が増え、精神が不安定に

 人間関係のトラブルが増えれば、おのずと精神にも悪影響が出ます。欲求不満やストレスが蓄積することになるので、情緒不安定や鬱傾向、自己肯定感の低下を招きます。これが長期間続き、生活に支障が出るようになると、精神疾患の発症や再発と診断されます。

間違わずに相手の立場に立つには

 これらのトラブルを回避するためには、相手の立場、判断軸で物事を考えられるようにならなければなりません。では、どうしたらよいのでしょうか?

自分の価値観、判断軸を一時的に脇に置いておく

 自分と相手は別の生き物なので、考え方、価値観、判断軸は異なります。そこから導き出される決断も異なるものになります。家族であっても遺伝的要素、環境、知識、知能など、全く同じということは有り得ないからです。まずこのことを肝に銘じなければなりません。

 なので、自分の軸は一時的に脇に置いといて、相手の軸で物を見て、相手の価値観だったらどう判断するかを考えるのです。

 ただし一部の人で問題になるのが、「自分の考えや価値観を捨てろということですか?」とか、「自分のほうが相手に合わせろということですか?」と思っていることです。これは違います。こういう人は、全ての物事を自分と紐づけて考える癖を持っている人です。通常は精神発達の過程で徐々に他人と自分を切り離していくのですが、それができずに止まっているのです。

 しかし、自分の頭の中で一時的に相手の価値観で考えること自体、実害はあるでしょうか。ないはずです。むしろ相手の出方が読めるようになれば、角を立てない対策が打てるので、自分の価値観をキープしながら柔軟な対応ができるようになります。

 実際、会社で自分の意見を通そうとした際に、上司の都合やポリシーを無視して、自分の考えをダイレクトに伝えたら却下されるでしょう。ここで相手の立場に立てたら、先回りできたり一段深い考えになったりして、上司からの印象が良くなり、自分の考えを採用してもらいやすくなります。しかも、採用されているということは、自分の考えを捨ててないですよね。

 相手の価値観で考えるのは、あくまで自分の価値観を通すための手法に過ぎないのです。

個々ではなく総量で、手に入れてない物ではなく手に入れた物を見る

 相手の立場に立てていない人というのは、どうしても個々の物事に集中し過ぎて、周りが見えていないことが多いです。

 例を挙げましょう。あなたの周りには、A、B、C、Dの4人がいます。あなたは今何も持っておらず、Aはリンゴ、Bはミカン、Cは桃、Dは梨を持っているとします。あなたにはリンゴがないので、Aから半分もらいます。ミカンもないですから、Bから半分もらいます。さらに、C、Dからも半分ずつもらいます。

 一見半分ずつ分け合ったので平等のように見えますが、違います。A~Dは元々持っていた果物の欠片しかもっていません。つまり1/2だけです。しかしあなた<B>だけ</B>は、4人から<B>「全種類」</B>もらっている上、分量に関しても1/2×4で、2個分となります。これは公平ではないので、相手の立場にたった判断とは言えません。

 なので、手に入れたものの総量を見ないと、相手の立場に立った考えとはなりません。

面倒くさがらずに、複数のパターンで、しっかりと考える

 決めつけ癖があるという人は、怠けたいという脳の本能に流されている人です。楽ではありますが、それではいつまでも相手の視点を身に着けることができないため、自分本位のままで、良好な人間関係を築くことができません。

 そもそも、人間関係は人類の長年のテーマで、簡単に決めつでこなせるほど容易なものではありません。お釈迦さまや古代ギリシャ、ローマの哲学者、古代中国の孔子ですら長い間答えを見出せずにいたのに、一凡人に過ぎない我々が直感でわかるなど、過信にしか過ぎません。

 なので、しっかりと自分で考える習慣を身に着けることが、まず大事です。

合ってるかどうか確認する

 恥ずかしがってやらない人がほとんどだと思いますが、確認しないことには合っているかどうかわかりません。

 さらに確認することで、他人の価値観や判断軸の引き出しが増えるので、相手の立場に立つ精度が上がります。そうすることでズレを修正できますし、客観性も身に着きます。

言葉だけに頼らない

 人間のコミュニケーションは、言葉だけで行われるものではありません。表情や仕草、体調にも表れ、むしろそちらのほうが真実を伝えている場合も多々あります。

 さらに、言葉だけでは表現しきれないものも無数にあり、言語だけでは全体の30%しか読み取れなかったという研究があります。

 なので、言葉以外の変化にも目を向けましょう。



2023年4月28日金曜日

多くが知らない差別の構造

  近年になってブラック・ライブズ・マターやLGBTQ運動など、差別が取りざたされるようになりました。そうなると、差別が良いか悪いかという話に行きがちですが、ここでは趣向を変えて、そのメカニズムについて分析したいと思います。

差別は一人では起きない

 まず前提条件を見ていきましょう。差別をしたとされる側と差別を受けたと訴える側の間で起こります。一人しかいない空間で暴言を吐いたとしても、訴えられることはありません。反対に自分一人しかいない空間で被害を受けるというのは有り得ないので、差別が発生しません。よって、相手と自分、二人(もしくはグループ)が、前提条件になります。

 となると、よく巷では差別をしたのか否かという一つの軸で語られがちですが、差別をしたとされる側と差別を受けたと訴える側二つの軸が存在するのがわかります。言い換えると、行為の良し悪しの軸と差別されたと捉えるかどうかの軸です。

差別における4タイプ

 言葉で説明してもわかりにくいと思いますので、図にしてみました。


 横軸が行為の良し悪し、縦が被害者意識です。行為者が別々なことから基準も異なるので、軸も別々になります。では、一つ一つ見ていきましょう。

A:良識的行為をしていて、被害意識もない

 これは周りが見ても行為が良識的の範疇にあると判断でき、差別を受けたとの訴えが無いケースです。お互いに実害が無く、特に問題がないと言える状態です。被害を与えていないのに、行為者が差別的なことをしてしまったのではと不安になっているケースも、こちらに入ります。

B:差別的行為の疑いがあるが、相手が認識していない

 こちらは、実際に差別的な行為があったにもかかわらず、受け手が気づいていないケースです。相手が寛容過ぎる場合と、鈍感だったりだまされていたりしている場合が、考えられます。

C:差別的行為が判明していて、被害を認識している

 Cは一番わかりやすいケースです。実際に差別的行為が確認されており、それを受け手が認知している状態です。

D:良識的範囲の行為だが、被害を訴えられている

 これが最も複雑なケースではないでしょうか。客観的に見て行為が良識的であるにもかかわらず、被害を受けたと訴えているケースです。


 本来差別されたかどうかは、行為があったかどうかで判断するものなので、上の図の横軸を基準とするのが妥当です。よって、BとCが処分の対象となります。

 にもかかわらず、日本の国民性なのか論理的思考が苦手なのか、事実確認をするべきところで被害者の気持ちを勘案してしまい、判断基準が縦軸になるケースが多々見受けられます。これだと、Bの認知されていない差別を見逃す一方、Dで言いがかりや冤罪も引き起こしております。

対策は?

 Bのケースは、周りの人がよく観察し見つけてあげて、被害者に教えてあげることが必要です。そのためにも本人は、普段から周囲の人と良好な関係を築き、信頼関係を作っておくことが大切です。特に、虎の威を借りる狐ではないですが、より地位や権威の高い人を味方につけておくと、その権限や威光で処分を下すこともできるので有効です。

 問題はDのケースです。単に世の中の仕組みがわかっていないのなら教えてあげればいいのですが、事実無根の訴えをしてくる時点で思い込みが激しいのがわかるので、恐らく聞き入れない可能性が高いです。

Dのタイプの問題点

 そもそもこのタイプは白黒思考や二極思考を持っており、自分は絶対正しいという考えから他人の事情を考慮せず、自分の片寄った価値観だけで相手を非難する傾向にあります。この特性から、たくさんある可能性の中の一つに過ぎないことでも、他を考慮することなく「これだ!」と思い込んで決めつけてきます。かなりパターン化された判断しかできないので、グレーゾーンやケースバイケースで対応やニュアンスが変わるというのがわからないのです。

 さらに他者に完璧を押し付け、少しでも違うと激昂したり被害者ポジションに入ったりと、対人トラブルが絶えません。本人には自覚がありませんが、思考の分野に関してはかなり自閉的で主観的にしか物事を捉えられず、何でも他人のせいにするので、周りに対して不安感や不信感が強く、他人を疑う癖が付いていて口論になりがちです。つまり、客観的に物事を捉えたり、自分を見つめ落ち度を認めるだけの人間力が無いのです。

 そのくせ、自分の心の穴を埋めるために積極的に人とかかわろうとする人も中にはいるため、余計にトラブルの回数が増え、より自信や自己肯定感を下げるという悪循環に陥るケースも見られます。実際は一人でいると自分の嫌な部分、汚い部分を見つめる時間ができてしまうので、そこから逃れるために人とかかわろうとしている可能性も考えられます。

 とにかく、よく心理や自己啓発の場で、このタイプから離れましょうと言われます。それが一番無難で確実な対処法ですが、本当のところその人をたらい回しにしているだけで、根本的解決にはなっていません。真に必要な対策は、精神科へ連れて行って時間をかけて認知の歪みを取り除いていくことだと思います。まあ、かなり難しいですが・・・



2023年4月26日水曜日

今まで告知してませんでしたが、LGBTERにて紹介してもらいました。

 実は今まで全く告知してませんでしたが、LGBTQの当事者を数多く紹介しているLGBTERの取材を受け、記事にしてもらいました。これまでの生い立ちや、現在のスタンスなどをいろいろ話させてもらいまして、LGBTQに対しての胸中も語りました。

 まあ、伝聞を人間が文字に起こすので、ライターさんのニュアンスが入ってしまい、ちょいちょいそうじゃないんだけどなという部分もあるのですが(例えば山梨県生まれとなっているが、本当は東京都生まれ山梨県育ち)、こんな感じで楽しみを見つけながら趣味に興じる人生を送る当事者もいるんだという一例になればと思っております。

 正直LGBTERの出演者の中には社会運動をしている方もいまして、バイタリティーあるなぁとは思うものの、そういう活動ってどこか浮世離れというか一般的な生活からはかけ離れているので、平凡な暮らしを望んでいる人から見たら、特殊な人と映るでしょう。

 かく言う私も趣味人となってその日暮らしをしているので特殊と言えば特殊ですが、LGBTQであってもいくらでも好きなことを見つけられ、気ままに生きられるというのがわかっていただけたら、これ幸いかなぁと思います。

私の記事はこちら
https://lgbter.jp/lgbter/akari-yoshida/


LGBTER
https://lgbter.jp/





2023年4月20日木曜日

多くの人は単語を読めても、文章になるとわからない?

 インターネットが普及し、見ず知らずの人とコミュニケーションするようになった昨今、10年20年前よりも単純に文章に触れる機会が増えたと思います。特にSNSによる拡散で、意図せず他人の発言を目にするようになって、その頻度は格段に上がりました。誰でも自由にアクセスできるパブリックなサイトで発言でき、それを自動的に不特定多数の端末に表示される。そんな世の中が、日常になりました。

 しかし、この誰でも書ける、誰でも見れるというシステムが、今まであまり明るみに出なかったある問題を露わにしたと思います。それが・・・

「国語力」

 ひと昔前なら、何か文章を書くとなると新聞、書籍、雑誌などの媒体に限られていました。当然ここに寄稿できるのはプロの人だけで、それなりに学識やキャリアを持っている人でした(マスコミはどうなんだという話は、ここでは置いておく)。その分野に精通した人が、それに応じたリテラシーや教養の元に文章を書くので、それなりに国語力のあるものが提供されていました。

 そして、こういった媒体は自ら手にし購入しないと読めないので、読者もその分野に一定のリテラシーや教養がある層に限られ、お互いの国語力にバラつきが少なかったと思います。

 それが現代になって、無名の一般人までもが書き込めるようになり、自らの国語力が丸裸になる時代がやってきました。ボキャブラリーの多少、文法の理解、長い文章を読む忍耐力、未知の単語を調べる意欲、文章全体の要約と抽象化、論理展開の方法などなど、文章を読むのも書くのもこれらの能力が必要になってきますが(これ以外にもいくらでもあるが)、そういったものがやり取りする上でオープンになってしまったのです。

 さらに、人間は自尊心を守ろうとする働きから、自分の能力を高く見積もる性質があるため、自分の不出来の部分に気付かないという心理効果も働きます。

 そこで今回は、SNS時代になって問われるようになった「国語力」とその仕組みについて、論じていきます。


SNSほど難易度の高いツールはない

 私はTwitterなんかを普段利用していますが、「最近、京都へ行ってきましたー!」とか言って、短文を添えて写真をひょいっと上げるなんてこともします。もちろん、生活の一部分をカットして気軽に見せるには丁度良いツールです。

 しかし、これが一旦イデオロギーや政治の話となるとどうでしょうか?全角140文字で収まるかというと、まず無理でしょう。この文字数で収めるとなると、かなり要約しなければならないし、抽象化した文章にならざるを得ません。とてもではありませんが、具体的な事例まで上げていたら文字数が足らないのは明白です。つまり、表現できる範囲に限りがあるのです。

 ということは、読み手にもその少ない文字数でどれだけ読み取れるかが問われます。特に抽象化した書き方をされた文章の場合、これが現実の世界でどう反映されるのかシミュレーションしながら読まなくてはならないし、要約されている場合はその要因が何なのかというのを推理しながら読まなくてはなりません。それを読み解くには、単語と文法がわかっていないといけないし、それを合体させるとどういう意味になるのかという論理的推察力が必要になってきます。

 なので、多くの人は140という文字数の少なさだけで簡単と判断しますが、それは手数が少ないだけで、国語力という点で見たらかなり難易度の高いスキルが求められることがわかります。


人間は自分のこととなると客観視できない

 ここ近年、脳の発達や学習到達度などの差によって、IQ以外の思考力にも能力のバラつきがあることがわかってきました。当然、平均以上の能力を持っている人もいれば、それ以下の人もいるわけです。統計学的に考えれば、その人数の比率はほぼ半々になります。

 しかし、面白いことに自分は平均よりも能力が高いかを問うアンケートを取ると、半数以上の人が高いと答えます。さらに面白い実験があります。ダニング博士とクルーガー博士の有名な共同研究です。一定数の生徒にテストを受けさせ、成績が平均以上のグループと平均以下のグループに分けます。テストの結果を知らせないまま生徒一人一人に、手ごたえや自分の点数の予想を尋ねました。

 すると、上位のグループは思ったより難しかった、もしくは並ではないかと答え、自分の点数を低く見積もる生徒が多く、反対に下位の生徒は思ったよりできたと答え、実際よりも点数を高く見積もる傾向があることがわかったのです。

 このことから人間は自分を客観視できず、能力の低い者ほど自分を過剰に評価することがわかりました。つまり人間は、自分の能力が足りていない部分に自分で気づけないのです。これを両博士の名前を取って、ダニング・クルーガー効果と言います。


国語力の差から生じる弊害

 そしてこれが国語力に表れて、その状態でSNSを利用したらどうなるでしょう。国語力のある人の話にない人が無自覚のまま、もっと言うと国語力があると過信して入り込むので、情報伝達の方法や理解度に大きな差が生じ、その差が埋まらぬまま話が進行することになります。

 せっかく正しい語句を用いて理路整然と説明しても、聞き手がその語句を知らなかったり、間違った文法で読んでいたら、それは本当の意味を理解できません。特に単語に関しては置き換えることも可能な場合もありますが、文法が間違っていたり、面倒くさがってところどころすっ飛ばして読んだり、はたまた認知バイアスにかかっていて曲解されたら、話し手のほうでは手の施しようがありません。

 これが昨今SNSで起こっていることなのです。

 実際にこの国語力の違いによって、SNSに限らず様々なところで影響が出ています。例えば、ここ最近のメディアやタレントが何か発言する際に曲解する人がいるので、いちいち断りを言うようになって本題に水を差す機会が増えたり、ネットで医学的な話をしているにもかかわらず、そこに人権の話と思い込んで場を荒らしたりというケースは、私以外にも見たことある人は多いのではないでしょうか。


国語力の低さは自分は気づかなくても、相手にはバレる

 しかし、先ほども言った通りダニング・クルーガー効果が働くので、国語力がない人でもできていると思い込んでいます。なので国語力は自分ではわからないし、国語力がない人同士であれば気づかれないでしょう。

 しかし、相手が国語力の高い人物であった場合はそうはいきません。なにせ、自分よりもリテラシーが高い分、正解を知っているわけですから、間違いに気づいてしまいます。ここを反対の意味で捉えたなとか、ここの論理が成り立っていないなとか言って判明してしまうのです。さらに、それを素直に認めず押し通そうものなら、意図的であると捉えられ悪意があると判断されてしまいます。これは、自分にとって大きなマイナスです。

 なので、如何に早く自分の国語力に気づき、修正できるかがカギとなります。


国語力とは何か

 では、国語力とはなんぞやという話になりますが、この言葉自体が抽象的であるため、一つの要素を指すものではありません。思いつくところを列挙してみると、

 語彙(意味まで知っている単語の数)、文法(自己流ではない、正しい単語の使い方)、概念、読解力、抽象化、具体化、論理的思考、推察力(決めつけではない)、予備知識・・・

 といろいろあります。一個一個説明すると、

 語彙:語彙とは一つの言語における、言葉数の総量のことです。意味まで知っている単語をどれだけ多く持っているかを表します。

 文法:単語の組み合わせ方です。ここを間違うと、肯定文か、否定文か、疑問文か、過去形かなどがわからなくなり、意味を取り違えます。

 概念:一つの分野において共通する普遍的な要素のこと。辞書の表現を使うと難しく感じますが、自然科学を例を挙げると、この世の自然現象は神や未知なるものが起こしたものではく、ちゃんと物理的な理由があるはずだという前提条件の部分が、概念にあたります。

 読解力:語彙、文法、概念などを踏まえて、部分ではなく「全体」として何を言わんとしているか読み解く能力。

 抽象化:抽象化とは、個々の物事の共通する部分を抜き出して、一つの概念とすること。例えば、猫と犬がいて、生き物としては別だけれど、動物という点で共通しているから一括りで捉えるのがそうです。

 具体化:抽象化の反対で、実際の事例に当てはめたり、実例を出したりすることです。先ほどの猫と犬の例を挙げたのは、典型的な具体化です。

 論理的思考:自身の感情や願望などの主観を排除し、自然科学、統計、実験など、不変で客観的なものから得られた法則や傾向を基に考えること。

 推察力:与えられた情報や条件から、論理的に結論を導く力。

 予備知識:その分野を語る上で、事前に知っておく必要がる知識。

というのが、それぞれの意味です。

 これらをその時々で組み合わせて文章を作ったり、読んだりしているのですが、当然人間のことなのでここにも個人差があるのです。知らない単語があったり、間違って意味を覚えていたり、文法を間違っていたり、具体的な事例に当てはめられなかったりなど、どれか一つでもできない部分があると、言いたいこととは違った文脈になってしまったり、間違った解釈をしてしまったりすることにつながります。

 ゆえに、書き手も読み手もある程度の高い総合力が必要になります。特にどちらか一方が高いリテラシーを持っている場合は、尚更でしょう。


そもそも国語力の差はどこから来るのか

 このように国語力には複数の要素が絡んでいて、その能力には個人差があり、その差によって多くのトラブルを招くことを話してきました。では、そもそも国語力の差はどこから来るのでしょうか?

読書量
 これを原因と挙げる方は多いかと思います。もちろんこの読書量の差は、大なり小なり国語力の差に影響していると私も思います。読書量が少なければ、他人の言葉に触れる機会が少なくなるので語彙が増えないですし、相手が何を言わんとしているかを読み取る機会も少ないですから、相手目線で考える回数も少なく、客観視を身に着けるトレーニングになりません。

 さらに読書となると膨大な数の文字をひたすら見続けなくてはならないため、長い文章を読み続ける忍耐力が必要になります。読書に慣れていないと、ネットで長い文章を目にした時に抵抗感を感じ、中飛ばししたり、流し読みしたりして、意味が理解できなくなってしまいます。

話し言葉の多用
 現代のことですから、ネットスラングを用いたり、若者言葉を用いたりすることは多いと思います。ただ、現代の傾向として全く異なるシチュエーションであったとしても、同じ単語を用いるケースが多々あります。

 たとえば、「やばい」という言葉がそうです。元々は任侠の世界の言葉でしたが、やがて一般化し一般大衆も使うようになりました。その頃は、危険、危機的といった身の安全が脅かされる状況のみを指していましたが、今では凄い、美味しい、感動など場面関係なく使う人が増えました。そうなると他の単語を覚える必要がなくなるので、必然的に語彙が貧困になり、知らない単語が出てきた際に意味がわからなくなります。

 さらに興味深い研究があって、同じ単語を多用する人と語彙が豊富な人を比べた実験で、語彙が豊富な人は知能が高く、同じ単語を多用する人は知能が低いという結果が出ました。語彙の量と知能に相関性があるのです。そして知能は、論理的思考、抽象化、推察力に影響することが脳科学で考えられているので、国語力に関わってきます。

自己流の解釈
 一般的なパターンとは異なり、独自の解釈をする人もいます。普通はそう受け取らないのに、この人は何でそう取るの?と思ったことは無いですか。そういう特異な解釈をする人が、まれにいます。

 このタイプは、一つ一つの言葉に対して、自分独自のレッテルを貼っています。障害者=弱者、平等=万能、格差=差別のように、言葉に対して勝手なイメージを持っていて、その勝手なイメージの方で文章を読もうとします。なので、正しく読解できるはずもありません。これは認知の歪みから来るのですが、この歪みの背後には生育環境が影響しているケースが少なくなく、問題を深刻化させます。

 さらにこのタイプは、特定の単語が入っているだけで過剰反応する人もいるため、文脈関係なくヒステリーを起こす場合があります。加えて厄介なのが、メンツを守ろうとするので、自分から引き下がったり、罪を認めたりしません。

脳の成長
 言語を司るのは脳なので、ここ成長が無関係というのは考えられないでしょう。実際、脳の成長は発語のスピードにも影響することがわかっています。そして脳の一部である海馬は記憶力を司り、前頭葉は理性と論理と思考を司っていることがわかっているので、国語力に影響することがわかるでしょう。

言葉に対する認識
 これは私見ではありますが、国語力がない人に言葉を感覚的なものと捉えている人が多いように見受けられます。そもそも言葉とは音声や文字を組み合わせたものです。あらかじめその意味や文法を申し合わせておき、そのパターンによって全体の意味を形成します。つまり、暗号となんらやっていることは変わらないのです。

 多くの人は暗号を感覚的なものとは考えず、一定のルールによって決められたものと認識しています。しかし、言語となるとそう考えないのは矛盾しています。実際、外国語も言語ですが、感覚的に話すでしょうか?恐らく多くの人は外国語となると文法を気にすると思います。

 国語力のある人は母国語であっても、感覚的には捉えません。自分と相手では感覚に差があることを熟知しているし、お互いの国語力を過信しないので、誤解の生じる言い回しを避けます。思いつきで言葉を口にするということは、危ういのでしないのです。

文章を読む際の癖
 多くの人は自覚がないでしょうが、文章を読む際に単語を一つ一つ拾うようにして読む人がいます。例えば、「今は冬ではないので、雪が降らない」という文章があるとしましょう。単語を拾う人というのは、「今○冬○○な○ので、雪○降らない」みたいな読み方をする人です。これだと、今が冬で、しかも冬なのに雪が降らないという意味になってしまい、相手の言いたかったこととは異なってしまいます。

 嘘だろと思う方もいるかもしれませんが、意外にもいて、早とちりしがちな人に多いように思います。

 さらに、この傾向は発達障害を持っている人にも見られるとの話もあります。シングルフォーカスの傾向があることから、一点集中した読み方になりやすく、断片的にしか文章を読めないのだそうです。

ディスレクシア
 聞きなれない言葉かと思いますが、文字の読み書きが生まれつきできない、もしくは苦手とする障害です。ハリウッド俳優のトム・クルーズがこの障害を持っていることで知られています。

 この障害が重く、全く読み書きができない場合はSNSを利用しようがないので、反って問題にはならないと思いますが、軽度の場合だと症状が弱く自覚できていない可能性があるため、遭遇する可能性が出てきます。

 ただセンシティブな上、医師でないと判断できないため、中々どう接していいか戸惑うところです。


どちらに合わせるのか問題

 さてここで、一つの問題が生じます。それは、どちらのレベルに国語力を合わせるのかという問題です。レベルの高い人は能力があるのだから低い方に合わせるべきだと、国語力が低い人は言います。確かにレベルを合わせることだけを考えたら、その結論は妥当です。でも、果たしてそれでいいのでしょうか?

 答えはノーです。なぜかと言うと、一つは語彙が少ないと表現できないものが出てきてしまうからです。日常生活ならまだしも、仕事や学問、趣味など専門性が高い分野においては、膨大な情報が日々やり取りされています。その中には正確性が問われたり、細やかなニュアンスが尊ばれるものも存在します。これらのことを説明したり表現したりする際に、否が応でも国語力が必要になります。

 例えば、仕事上用語を多く知っていたほうが余計な説明を省けて、もっと中身の濃い話をたくさんできますし、文学の世界でも「水に浮かぶ桜の花」と言うよりは、「花筏(はないかだ)」と言ったほうが、比喩表現になり風情を感じます。

 二つ目は社会全体の読解力の低下を招き、つたない表現しかできなくなるからです。そうなっては言語自体が陳腐なものになってしまい、表現できることがどんどん減ってしまいます。そうなると、コミュニケーションにも障害が発生し、意思疎通が困難になってしまいます。

 三つ目は学力の低下を招くから。国語力が低いと教科書を読み、理解することもできなくります。そして、どんな教科も文章で説明されている以上、国語は全ての教科で必要になります。

 数学の場合も例外ではなく、計算ドリルなら国語は必要ありませんが、文章題や証明問題も主題されるので、その際に出題者は何を問うているのかがまずわからないと解けません。社会の場合も事件のきっかけ、経過、影響が読解できないと解けないですし、人生の教訓とすることもできません。

 なので、低い方に合わせるのは妥当ではないのです。もちろん、先端医学や電子工学などあまりに専門過ぎる内容はほとんどの人がわからないので、そういったものはレベルを落としてくれないとわかりませんが。


国語力をアップさせるには

 では国語力をアップさせるには、何をしたらいいのでしょうか。今まで書いてきた内容にも少しありますが、ここに列挙していきます。まずは、

読書
 これは誰もが言います。やはり読書量が多い人は語彙も知識も豊富なので、否が応でも国語力も身につきます。特に出版物は推敲や編集、校正を行うので、正しい言葉の使い方に直してあります。本来の言葉の意味を知ることができますし、正しい文法を目にする機会にもなります。

 さらに長い文章を見慣れることで、活字に対する抵抗感を減らすことができ、じっくり読めるようになります。

本の要約を人に話す
せっかく読書をしても、独自の解釈をしていたら国語力がアップしません。合っているかどうか確かめるために、本の要約を人に話してチェックすることを精神科医の樺沢紫苑先生はお勧めしています。間違った解釈のままだったら、本の内容とは異なる知識になってしまうので、有効なものになりません。

 例えばトレーニングで間違った方法を行ってしまい筋肉がつかないとか、設問を正しく読解できなくて誤答してしまうとかが起こりえます。

 さらに自己流の文法だと相手に伝わりません。ここで間違いを指摘してもらうことで修正でき、自分の言いたいことが伝わるようになります。

語彙を増やす
語彙が増えることによって、理解できる量と幅と深さが生まれます。どうしてもその言葉でないと説明できないこともあるので、知らないと伝えられないし、理解もできません。そのためにはどれだけ多くの言葉を知り、意味まで理解できているかが重要になります。そのため普段から多くの語彙を用いて書いたり、話したりすることが、トレーニングになります。

友達を変える
友達から受ける影響は少なくないです。教養のない人が周りに多いとそれが当たり前になるので、自己変革につながりません。裏切るわけではありませんが、次第にリテラシーの高い人へシフトすると環境を変えることができ、そのコミュニティが自分にとってのベーシックになるので、必然的にスキルアップになります。

カウンセラーを利用する
認知の歪みからくる場合は自分では気づけないです。例え気づいたとしても、自助努力で改善するには根深く、困難です。こういう時は、プロの力を借りるのが賢明です。心理カウンセラーはその道のプロなので、自分でやるよりも改善する可能性は高いです。

 ただし、過去のトラウマや親子関係を振り返る場合もあるため、一時心理的な痛みを感じることがあり、覚悟する必要があります。

感覚で捉えるのを止める
言葉はお互いの単語の意味と文法がそろって、初めて通じます。感覚と捉えると独自の解釈、独自の用法になり、齟齬(そご:解釈の開きのこと)が生まれます。まずはしっかりと基礎を身につけないと始まりません。


 いかがだったでしょうか?なかなか複雑で難易度高いと思った方も、いるかもしれません。もちろんすぐに身につく能力ではないので、じっくりやっていくことが肝要です。でも、国語力がつくとわかることが増えますし、今まで伝わらなかった自分の思いが上手く伝えられるようになるので、メリットは大きいです。ぜひとも取り組みましょう。


LGBTERで私のことが紹介されています
LGBTERでの紹介はこちら
https://lgbter.jp/lgbter/akari-yoshida/





2023年4月18日火曜日

SRSで得られる物、得られない物、再整理

 多くの人は様々なシーンで、そんなこと言われなくてもわかっていると口にしますが、でも本当に腑に落ちるまでわかっている人って少ないのではないでしょうか。実際これには個人差があり、骨の髄まで理解している段階のものもあれば、頭ではわかっているけどというものまであると思います。今回はその状態をはっきりさせることと思います。

 さて、SRS(性別適合手術)は性別変更をする手段として、認知が広がってきました。とはいえ、SRSは万能薬ではないのは頭ではわかっていると思います。しかし、何かお墨付きを得られる気がするため、期待をしてしまうこともあるかと思います。そのもやもやが晴れるかわかりませんが、要点をまとめます。


SRSをすることの意味

性器に対する違和感を軽減させる
 一番大きな意味合いは、これだろうなと思います。物理的になくしてしまい、いつ何時も見なくて済むようになるから、そして実際に無くしたという事実があるからです。

近似した外性器を得られる
 MTFの場合、作られないこともありますが、形成されると異性の生活スタイル(性生活と排尿)に変わります。それと、異性の形状になることでより満足感を得る人もいるでしょう。

書類上の性別を変更できる
 今現在、日本ではSRSが戸籍の性別変更において必須条件となっております。なので、戸籍に準拠する住民票、各種契約、登記、登録等の性別も変更できるようになります。

一区切りつけられる
 新たな体に作り替わることで、一区切りつけられます。これにより、心機一転新たな人生をスタートさせるきっかけにはなります。


SRSをしても変わるとは限らないこと
 反対に変化しない、もしくは変化が期待できないものもあります。

周りからの認識
 周囲の人々からの扱いが変わるかどうかは相手の認識次第になるので、その人次第です。そもそも下半身を見せるわけにもいかないですし、人間の認識は、容姿、声色、生い立ち、深層心理、人格など、双方の複数の要素が複雑に絡んで形成されています。性格的に単純には割り切れない人もいるので、SRSをしたからといってそう簡単に相手の認識を変わるわけではありません。

自信・自己肯定感
 一区切りつけられることで自信・自己肯定感がつく人もいますが、当人次第なのでSRSしたからといって必ずそうなるとは限りません。むしろ、慢性的な不安症に陥ってしまい、精神を患ってしまう人も一定数います。実際術後病んでしまい、自殺にまで至ってしまうケースもあります。

外見
 生殖腺の除去でホルモンバランスの変化があり、それが後々外見に影響するかというと少々あるかもしれませんが、ほぼないに等しいというのが大方の実感ではないでしょうか。むしろ、それまで投与してきたホルモン剤の影響の方が大きいし、しかも個人差も大きいので、あまり期待した通りにならないケースも散見されます。

未来
 手術が未来を作ってくれるわけではないので、この点の保証はありません。しかもSRSを人生のゴールと位置づけてしまうと、達成した時に他にやりたいことが無くなってしまって燃え尽き症候群に陥ってしまい、無気力になったり、うつ病を発症したりするので、人生の通過点と考えるほうがベターだと思います。

生物学的な性別
 染色体まで変えることができないため、こればかりはどうにもなりません。なので、性自認と染色体が異なるのが許せないという人は、SRSを受けても納得できない可能性が高いです。実際、これが元で精神疾患を発症したり、悪化させたりした人もいるそうで、どこかで折り合いをつけないと精神の安定を保てないと思います。

脳および脳機能
 脳を手術するわけではないので、当然変わりません。なので、自分に備わった習性や本能はそのままです。

アイデンティティ
 流動的で未確定のアイデンティティを確立させるべく手術に踏み切る人も中にはいるようです。しかし、アイデンティティは脳内で形成されるものなので、SRSをしたからといって明確になるわけではありません。手術をしたものの、後になって私はトランスジェンダーや性同一性障害ではないと気づき、後戻りできなくなってしまった、もしくは再度SRSを受ける例も一定数あります。
 ただ、再手術をしたとしても完全には元の体には戻すことはできませんし、一生不妊でありホルモン投与も続けなければならないのは変わらないため、コスト面、身体的負担でもリスクが大きいです。


まとめ
 SRSを目標に頑張っている人も多いと思いますが、中には悲劇的な結果になってしまった人もいるのがこの手術の怖いところです。昔から後悔先に立たずとは言うものの、将来を予測できる人はいないので中々判断が難しいところです。

 自分で判断することなので自己責任と言えば自己責任ですが、もし何かあった時に周りの人は何もしなかったのかなとも思ってしまいます。なので、一人で判断せず、家族や友人、職場の同僚など、誰かメンターを作って相談するのがいいのではと思います。


国内SRSの手順と対応クリニック(準備編)
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